成果物ではない報告書
通常、開発・保守契約書における報告書は、仕事の完成したことを証明する書面であり、成果物と位置付ける人が多く見受けられます。
確かに、開発契約書において実施された単体試験や結合試験などの結果報告書は、仕事の完成したことを証明するための報告書であり、成果物としての位置づけとなります。
しかし、仕事の完成責任を負わない準委任契約で、例えば、ソフトウェア保守業務で、問い合わせ回答を行うにあたり、この準委任業務に付随して提出する報告書は、成果物ではなく、民法645条(受任者による報告)に基づくものであります。
第645条
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
準委任業務に付随して提出されるわけですから、報告があるからと言って、ただちに請負契約になるとは限りません。
実務の中では、報告があるから、ただちに請負だと主張する方が多くいらっしゃるのも事実ですので、注意が必要です。