ハードウェア(機器・装置)保守契約書を徹底解説! - 契約書の作成リーガルチェックは企業法務経験豊富な行政書士へ

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ハードウェア(機器・装置・サーバー)保守契約書を徹底解説!

最終更新日:2023年8月8日

 

ハードウェア・機器・装置・サーバーなどの保守契約書について、徹底解説をしております。

 

 ※ソフトウェア・アプリの保守契約書については、こちらをご確認ください。

 

 

 

ハードウェア保守契約書の概要

「ハードウェア保守契約書」とは、構築・導入したサーバ、ルータなどのハードウェア(機器)が故障した場合、ハードウェアの故障修理や交換を委託したり、これらのサービスの提供を行うための契約書です。

 

特に、突然のハードウェアの故障による運用停止により、業務への影響を可能な限り抑えたい場合、休日や深夜に緊急対応を依頼しても対応できませんので、ハードウェア保守契約書を事前に締結することにより、ハードウェアメーカー技術員の緊急な復旧対応(24時間365日)を受けられるのです。

 

また、ハードウェア保守には、ハードウェアを常に正常な状態で運用したり、ハードウェアの故障の未然防止・円滑な運用を維持する目的で行う定期点検を含むこともあります。

 

 

 

ハードウェア保守契約書の特徴

 ハードウェア保守は、既に運用しているハードウェアについて行うものです。ハードウェア保守契約書の特徴は以下のとおりです。

  • 既に運用中のハードウェアが対象となります。
  • 最終的には、ハードウェアメーカーが保守を行いますが、契約はメーカーであるとは限りません。
  • 通常1年間の担保責任があり、担保責任の範囲内で対応してもらえますが、故障時の早期復旧のため、ハードウェア保守契約を締結することが多いです。
  • ハードウェアを復旧させることが必要となり、仕事の完成責任を負いますので、請負契約となります(契約不適合責任も負います)。
  • 請負契約となりますので、収入印紙の貼付が必要となります(第2号文書)。

 

 

ハードウェア保守の内容

主なハードウェア保守の内容は以下のとおりです。

オンサイト

・保守会社が自社の技術者を現地に駆け付けさせ、故障対応を行い、早期に復旧させます。

現地に駆け付けさせるには、24時間対応など人員の確保に経費がかかりますので、一般的に高額です。

また、駆け付け目標時間を定めることもあります。

センドバック

・ハードウェアを使用しているユーザが故障したハードウェアをメーカに送付し、修理後返却してもらい、自ら設置設定などを行います。

 

※一般的にサービス料金は抑えめですが、時間がかかり、故障修理の期間、使用できなくなることが問題となります。

先出しセンドバック

・故障申告を受けた場合、ハードウェアのメーカが事前に準備されたハードウェアを現地にすみやかに送付し、ユーザが自ら故障したハードウェアと交換し、故障したハードウェアをメーカに送付し、修理を依頼するものです。

修理が終わった後、次の故障に備えて、予備のハードウェアとして準備しておくこともあります。

オフサイト

・文字通り、上記のオンサイトの逆のことを指していて、ハードウェアの故障が発生した現地から離れた外部(通常は保守会社の拠点)において故障対応を行うことを言います。具体的には、電話やメール、リモートアクセスによる対応などを指します。

 

 

 

ハードウェア保守契約書作成のポイント

ハードウェア保守契約書作成のポイントをまとめてみました。どれも実務に長年携わってきた経験に基づいています。参考にしてください。

保守の対象

保守の対象を明確に定めましょう。

どのハードウェアなのか、メーカー、型番、製造番号などを記載しているか、具体的に定めないと後日もめることにもなりかねません。

継続的な契約

保守契約は継続的な契約です。

複数年契約の場合もありますが、通常1年契約であることが多く、更に、契約事務処理軽減のため、自動延長条項を定めておくことが多いです。

報告

保守契約では、納入品を納入することがありませんので、業務(=仕事)の完成したことを証する書面として、報告書を提出いたします。これを検査して、仕事が完成したことをチェックします。但し、センドバックでは、修理済み品に同封される納品書が報告書となります。

支払

保守契約は、継続的な契約であるが故に、以下のとおり、様々な支払パターンがあります。

  • 一括払い(前払い・後払い)
  • 月払い(前払い・後払い)
  • 四半期払い(前払い・後払い)

  • 半年払い(前払い・後払い)
  • 1年毎払い(前払い・後払い)※複数年契約の場合

などがあります。

この他にも、1年目と2年目で期間や金額が異なることもありますし、1年目は0円、2年目は通常の金額ということもあります。当事務所では、様々な取り決めに対応可能です。

インシデント

契約期間中に業務の上限回数を定めておき、その回数を超えたら、インシデント(チケットのようなもの)を購入するという対応をインシデント対応ということがあります。

これは無制限に業務を実施するのではなく、想定される回数や過去の実績ベースで算出して、経費の節減につながるという効果があります。

なお、契約期間満了時に、インシデントがまだ残っている場合でも、次年度以降には繰り越されないとすることが多いです。

非定額業務(オンサイト)

実施することが想定されないものの、保守内容や単価などを定めておき、実際に、そのような保守を行うと、あらかじめ定めておいた単価で算出した料金が発生するというものです。

特に、オンサイト対応を実施した場合に、別料金となることが多く、契約金額とは別にオンサイト料金を支払うということになります。

これも当初の契約金額にオンサイト料金を乗せていないので、実際にかかった場合にだけ支払えばよいので、経費節減につながります。

保守対象外業務

天災地変など不可抗力で発生した業務、保守業務の対象外となる業務、また契約書に記載していない業務を実施した場合は、別途料金がかかるとするものです。

何もなければ保守業務の範囲が広くなってしまいますので、このような規定を設けることで、業務の線引きが可能となります。

また、特に受託の場合、ユーザの立場のほうが強いケースが多いですから、あらかじめ明記することで別途料金がかかると主張しやすくなります。

変更契約

保守契約は継続的な契約であり、自動延長が5,6年繰り返されるということがほとんどです。

そのため、契約金額、単価、条件などを変更契約を締結することで変更することになります。この場合、収入印紙が問題となってきます。

「秘密情報」や「個人情報」の遵守に関する覚書

継続的に「秘密情報」や「個人情報を取り扱うことになりますので、その取扱いや情報事故が生じた場合の手続き、損害賠償などを取り決めた「秘密情報」や「個人情報」に関する覚書を、保守契約書とは別に締結することが多いです。

これは、情報漏えい事故があると、某B社の例を見ても分かるように、ユーザが莫大な損害を被ることになりますので、大企業から受託する場合、特に増えております。

一般的に、これを遵守していないとは言えない内容ですので、委託先としては受け容れざるを得ないのですが、よく見ると会社として対応できない内容もありますので、委託元から提出される書式をしっかりチェックする必要があります。

 

 

 

ハードウェア保守契約書の印紙

ハードウェア保守契約書のうち、「継続的な請負契約」に該当するものについては、印紙税法上、第2号文書(請負に関する契約書)になりますが、「契約期間が3か月以内で、かつ自動更新のないもの」を除き、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)にも該当することとなります。

 

この場合、どちらの文書に所属するかは、以下のとおり契約書に記載金額の記載があるかどうかで決定されることとなります(通則3のイ)。

 

●契約書に記載金額の記載がある場合(契約金額と契約期間の記載があり契約書上で契約金額が明確な場合)

 →第2号文書(印紙税額は、請負契約の契約金額により決定されます)

 

●契約書に記載金額の記載がない場合(契約金額と契約期間のうち、両方又はいずれかの記載がないため、契約金額が不明確な場合)

 →第7号文書(印紙税額は4,000円)

 

収入印紙を貼付していない場合でも、ハードウェア保守契約書の有効性に影響がある訳ではありませんが、印紙税額の3倍の過怠金がかかりますし、企業としての信用力の低下となる場合も想定されますので、ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

ハードウェア保守契約書の作成・チェックにお悩みの方へ

当事務所では、ハードウェア保守契約書・ハードウェア保守ライセンス規約の作成やチェックの依頼をこれまで数多く受けてまいりましたが、保守の対象、保守業務や保守サービスの内容などの記載が曖昧なものが多いと痛感しています。

 

これらを明確に記載することで、保守業務や保守サービスの性質が請負なのか、準委任なのか、はたまた単なる情報提供なのかが判断できることになり、委託を受ける保守会社の責任範囲が明確になり、これによって保守契約書の作成に着手できることになります。

 

契約書に、単に保守業務や保守サービスを羅列することが多く、本来あるはずの業務やサービスの連続性が表現されず、結果わかりにくい契約書になっていると感じています。

 

また、保守契約では納入品がないにもかかわらず、納入品や所有権・著作権の譲渡に関する条項の記載があるなど、よくある「開発・納入型」の業務委託契約書で締結してしまい、本来必要な条項が欠落し、不要な条項が規定されているという、実際とマッチしていない契約書も非常に多く見かけます。

 

当事務所は、お客様からのヒアリングを最も重視しており、しっかりと意思疎通を図ることで、より詳細かつ明確、そして、保守業務や保守サービスの連続性のある保守契約書を作成したり、そのような保守契約書となるようリーガルチェックいたします。

 

これによって、長期間にわたり継続する保守契約を安心し締結し、運用していただけるようお手伝いしたいと思っています。

 

ぜひ、当事務所にご相談いただければと思います。

 

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