業務委託契約書の印紙(2号7号不課税非課税文書)を徹底解説! - 契約書の作成リーガルチェックは企業法務経験豊富な行政書士へ

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業務委託契約書の印紙(2号7号不課税非課税文書)を詳細解説!

最終更新日:2024年9月12日

 

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このページでは、業務委託契約書の印紙について、解説しております。

 

業務委託契約書では、収入印紙(以下「印紙」といいます)の貼付が必要な場合と不要な場合があります。

 

印紙の貼付が必要な場合として、第2号文書、第7号文書、第1号の1文書にあたる場合です。主としてこれらのことについて解説してまいります。


なお、「第1号の4文書(運送に関する契約書)」の運送についても、業務委託契約書の一類型である請負契約の性質を有すると考えられますが、印紙税法における「運送に関する契約書」については、仕事の結果に対して報酬が支払われるかどうか、またそれを営業としているかを問う契約書ではございません。そのため、一般的な請負契約とは明確に分けて考えることができますので、ここでは対象外とさせていただきました。

 

このページは、情報量が非常に多いですので、以下に目次をご用意いたしました。

印紙を貼付する必要がある場合と不要な場合

kazeibunsyonosyurui印紙の貼付が必要となるのは、印紙税法別表第一(課税物件表の課税物件欄)のいずれかに該当する課税文書です。


業務委託契約書では、第2号、第7号、第1号の1文書が主な課税文書となりますので、これらに該当すると、印紙の貼付が必要となります。

 

一方、課税文書に該当するものの、除外規定で課税対象とならない文書(非課税文書)や印紙税法別表第一(課税物件表の課税物件欄)のいずれにも該当しない文書(不課税文書)については、印紙税の課税対象外ですから、印紙の貼付が不要となります。

 

また、近年、契約書を「文書」として作成しないで、クラウドサインなどの電子契約で締結することが増えてきております。

 

電子契約では、契約書を「文書」として作成しませんので、課税されません。そのため、印紙の貼付は必要ありません。

第2号文書

第2号文書とは、受注者が仕事の完成責任を負うことになる「請負に関する契約書」です。

「請負に関する契約書」がすべて第2号文書に該当するとは限りません。

開発や製造などの一時的(単発型)な請負契約書であれば、記載金額にかかわらず、また、保守などの継続的な請負契約書であれば、記載金額があるとき、「第2号文書(請負に関する契約書)」に帰属することになります(記載金額がなければ第7号文書に帰属します)。

 

※どのような契約書が請負契約に該当するかは「請負契約書の例」でご説明しております。


ただし、業務委託契約書(請負契約か委任契約かにかかわらず)に、「無体財産権(特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権)の譲渡」について規定がある場合、「第1号の1文書(無体財産権の譲渡に関する契約書)」に帰属することがあります。

 

なお、請負契約とこれに類似している委任契約の詳細については、「請負と委任の違い」にて解説しておりますので、必要であれば、参照してください。
業務委託契約書においては、請負と委任の違いを理解しておかなければ、印紙の貼付の必要性が判断できず、印紙税法違反の可能性が出てまいりますので、ご注意ください。

 

 

第2号文書の印紙税額

 第2号文書の印紙税額は契約金額に応じて、以下のとおりとなります。

 

2号文書印紙税額一覧表 ※「建設工事の請負契約書」については、期間限定で軽減税率が適用されますので、印紙税法をご確認ください。

 

第7号文書

「第7号文書(継続的な取引の基本となる契約書)」とは、「業務委託基本契約書(請負)」「請負基本契約書」「売買基本契約書」「取引基本契約書」「販売店契約書」「代理店契約書」などが代表例ですが、印紙税法には、「特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるもののうち、政令で定めるもの」と定められ、具体的には、印紙税法施行令第26条に規定してあります。

 

※「契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が3か月以内であり、かつ、更新に関する定めのないもの」は「第7号文書」から除かれますので、注意が必要となります。

印紙税法施行令第26条

印紙税法施行令に定めてあるものが第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当します。

パターン3と4は金融機関、パターン5は保険会社が扱うことが想定され、一般的な業務委託契約書では、主にパターン1と2に該当するものと考えられます。

パターン1(特約店契約書)第26条第1号
特約店契約書その他名称のいかんを問わず、営業者(法別表第一第十七号の非課税物件の欄に規定する営業を行う者をいう。)の間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する二以上の取引を継続して行うため作成される契約書で、当該二以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定めるもの(電気又はガスの供給に関するものを除く。)

※個人の場合、医師、マッサージ師、弁護士、農林漁業に従事する者等、法人の場合、公益法人は、「営業者」に該当しません。

 

例:売買基本契約書、取引基本契約書、製造委託基本契約書、保守基本契約書など

パターン2(代理店契約書)第26条第2号

代理店契約書、業務委託契約書その他名称のいかんを問わず、売買に関する業務、金融機関の業務、保険契約の締結の代理若しくは媒介の業務又は株式の発行若しくは名義書換えの事務を継続して委託するため作成される契約書で、委託される業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定めるもの

 

例:集金委託基本契約書、仕入委託基本契約書、代金回収委託基本契約書、店舗経営委託基本契約書など

パターン3(銀行取引約定書)第26条第3号

銀行取引約定書その他名称のいかんを問わず、金融機関から信用の供与を受ける者と当該金融機関との間において、貸付け(手形割引及び当座貸越しを含む。)、支払承諾、外国為替その他の取引によつて生ずる当該金融機関に対する一切の債務の履行について包括的に履行方法その他の基本的事項を定める契約書

パターン4(信用取引口座設定約定書)第26条第4号

信用取引口座設定約諾書その他名称のいかんを問わず、金融商品取引法第二条第九項(定義)に規定する金融商品取引業者又は商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第二十三項(定義)に規定する商品先物取引業者とこれらの顧客との間において、有価証券又は商品の売買に関する二以上の取引(有価証券の売買にあつては信用取引又は発行日決済取引に限り、商品の売買にあつては商品市場における取引(商品清算取引を除く。)に限る。)を継続して委託するため作成される契約書で、当該二以上の取引に共通して適用される取引条件のうち受渡しその他の決済方法、対価の支払方法又は債務不履行の場合の損害賠償の方法を定めるもの

パターン5(保険特約書)第26条第5号

保険特約書その他名称のいかんを問わず、損害保険会社と保険契約者との間において、二以上の保険契約を継続して行うため作成される契約書で、これらの保険契約に共通して適用される保険要件のうち保険の目的の種類、保険金額又は保険料率を定めるもの

基本契約書に基づく個別契約書

継続的な取引の基本となる契約書のうち、例えば、請負基本契約書や業務委託基本契約書(請負型)などは、取引の基本となる事項を定めた契約であり、個別具体的な契約ではありませんから、これに基づいて、契約内容(業務内容や請負内容)、契約期間や契約金額などを定める個別契約を締結することになります。

 

個別契約は、「第2号文書」(※無体財産権の譲渡がある場合、「第1号の1文書」に該当することがあります)として、契約金額の記載に応じた印紙の貼付が必要となります。

 

継続的な取引の基本となる契約書に基づく個別契約の場合、実務では、注文書と注文請書でのやり取りが多くみられますが、一般的には、契約を申し込んだという事実だけを記載した注文書は課税文書とならず、注文書の内容を承諾することによって契約が成立することになる注文請書は課税文書となります。そのため、注文請書にのみ印紙の貼付が必要となります。

 

※注文書の提出によって自動的に契約が成立するような記載があるものは注文書に印紙を貼付することが必要となります。

 

さらに、保守契約書(いわゆるエレベーター保守契約書)や継続的な業務委託契約書で、請負の性質をもつものは、「第2号文書」だけでなく、「第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)」にも該当し、記載金額がなければ、「第7号文書」に所属することとなり、4,000円の印紙の貼付が必要となります。

 

※どのような契約書が請負契約に該当するかは「請負契約書の例」でご説明しております。

 

継続性のある請負契約書(保守契約書)の印紙

営業者間において継続的に生じる保守契約書や清掃契約書などの「継続性のある請負契約書」については、開発や製造などの一時的(単発型)な請負契約書と異なり、印紙税法上、「第2号文書」のみならず、「第7号文書」にも該当することとなります。
ただし、契約期間が3か月以内且つ自動更新のないものを除きます。

 

この場合、「継続性のある請負契約書」の最終的な所属は、「契約金額の記載」の有無で判断することになります(通則3のイ)。
「契約金額の記載」があれば、「第2号文書」となり、記載がなければ、「第7号文書」となります。

 

また、「契約金額の記載」の有無は、それに対する契約金額(契約期間と契約金額のいずれもが契約書上で明記されていることで、たとえば、月額の契約金額が5万円、契約期間が2年と記載されていて、契約書における契約金額が120万円と契約書上で明確なこと)を記載しているかどうかで判断します。

 

通則3のイの規定で、「第2号文書」と判断された文書は、たとえ契約金額が1万円未満であっても、非課税文書とはならず、200円の印紙の貼付が必要となります。印紙税法別表第一の「第2号文書」の「非課税物件」欄に、その旨記載があるからです。

 

なお、通則3のイの規定は、「継続性のある請負契約書」を変更する変更契約書を締結する場合にも適用されますので、注意が必要です。

 

「第2号文書」と「第7号文書」の両方に該当するものの、「契約金額の記載」の有無により「第2号文書」と判断された原契約(継続的な請負契約書)を変更契約書で変更する場合、契約期間と契約金額のいずれもが変更契約書上で明記されていなければ、「第2号文書」とは判断されません。

 

例えば、次年度の契約金額を変更することのみを変更契約書に規定しているケースですと、契約期間の規定がなく、「契約金額の記載」がないということになりますので、たとえ契約期間を変更しない場合でも、契約期間もあわせて記載しておくことで、「契約金額の記載」があり、「第2号文書」と判断されることになります。

 

このあたりは、非常に多くの方が誤解している部分でもありますので、ご注意ください。

 

ソフトウェア保守・システム保守契約書の印紙貼付の要否

ソフトウェア保守・システム保守契約書では、業務の内容により、印紙の貼付の扱いが以下のとおり異なっています。

 

(1)ソフトウェアの不明点・使用方法・技術的問題点に関する問い合わせへの電話電子メールによる回答

 

 →準委任契約に該当し、印紙の貼付は不要です。

 

(2)マイナーバージョンアップ版の提供(その後ユーザみずからバージョンアップ版の適用)

 

 →情報提供契約に該当し、印紙の貼付は不要です。

 

(3)ソフトウェアのバグの修正(復旧義務を負う、いわゆる「仕事の完成義務を負う」もの)

 

 →請負契約に該当し、「契約金額の記載」により、第2号文書か第7号文書に該当します。

 

 

保守など継続性のある請負契約の印紙は難解です。
間違った貼り方をすると印紙税法違反となります。

 

 

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請負契約に該当すると

ここまで述べてきたとおり、業務委託契約書が「請負契約」に該当すると、概ね「非課税文書(課税文書に該当するものの、除外規定で課税対象とならない文書)」や「第1号の1文書(無体財産権の譲渡に関する契約書)」に該当する場合を除いて、「第2号文書」か「第7号文書」のどちらかに所属することになります。

 

※どのような契約書が「請負契約」に該当するかは「請負契約書の例」でご説明しております。

 

具体的には、以下の3つに分類されます。

  • 単発の(一時的な)請負契約書:「第2号文書」
  • 継続的な請負契約書(契約金額の記載あるもの):「第2号文書」
  • 継続的な請負契約書(契約金額の記載ないもの):「第7号文書」

印紙税の課税対象となりにくい委任契約(第1号の1文書や第7号文書(売買の委託)除く)と異なり、請負契約に該当すると、ほぼ課税対象となってきますので、注意が必要です。

委任契約に該当すると

業務委託契約書が「委任(準委任)契約」に該当すると、原則として、不課税文書となり、印紙の貼付は不要となります。

 

※どのような契約書が委任契約に該当するかは「委任契約の例」でご説明しております。

 

しかし、受託者から委託者に委任契約に基づく成果があり、業務委託契約書に、著作権などの無体財産権を譲渡する旨の記載を含む場合、「第1号の1文書(無体財産権の譲渡に関する契約書)」に該当することがあります。

 

つまり、以下のような条項があると、委任契約でも「第1号の1文書」となり、印紙の貼付が必要となります。

無体財産権を譲渡する場合の条項例

本契約に基づき提出された成果物にかかる著作権は、その提出をもって乙から甲に譲渡される。

委任契約に基づく成果とは、仕事の完成責任を負わないもので、民法第648条の2第1項に定める「委任事務の履行により得られる成果」のことをいいます。例えば、要件定義書やコンサルティングに付随して提出する資料などが挙げられます。

 

また、業務委託契約書が「売買の委託」、「売買に関する業務や保険業務などの委託」をするために作成される契約書に該当する場合、要件を満たすと、「第7号文書」に該当する可能性があり、この場合、4,000円の印紙の貼付が必要となります。

 

以上から、「委任契約」に該当したとしても、一律に「不課税文書(=印紙の貼付が不要)」とはなりませんので、ご注意ください。

 

 

 

第1号の1文書

第1号の1文書は、無体財産権の譲渡に関する契約書です。

 

無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権のことを指し、業務委託契約書では、このような無体財産権のうち、著作権の譲渡を伴うことがよくあります。

 

業務委託契約書の性質が請負契約である場合には、印紙税法上、「第1号の1文書」のみならず、「第2号文書」にも該当することになります。


この場合には、以下の基準で判断します。なお、国税庁のHPに公式な見解がございますので、国税庁HP「2以上の号に該当する文書の所属の決定」(5)(6)をご確認ください。

 

(1)業務委託契約書(請負契約)が「第1号の1文書」にも「第2号文書」にも該当する場合(通則3ロ)

  • 業務委託契約書の頭書、契約要綱や条項において、以下の内容が規定されていれば、「第1号の1文書」に該当し、印紙税額は400円となります。
  • 報酬額:金250,000円(消費税等別)
    ※報酬には、本業務により生じた著作権の譲渡にかかる対価を含むものとする。

 

(2) 業務委託契約書(請負契約)が「第1号の1文書」と「第2号文書」に該当する文書で、それぞれの課税事項ごとの契約金額を区分することができ、かつ、「第2号文書」についての契約金額が「第1号の1文書」についての契約金額を超える場合(通則3ロ但書)

 

  • 業務委託契約書の頭書や条項において、以下の内容が規定されていれば、該当する課税文書の金額のみで印紙税額を算出できますので、「第2号文書」に該当し、印紙税額は200円となります。
  • 報酬額:金250,000円(消費税等別)
    内訳)著作権譲渡にかかる対価:100,000円(消費税等別)←第1号の1文書の対象
       本業務実施にかかる報酬:150,000円(消費税等別)←第2号文書の対象

 

また、この「第1号の1文書」に該当するかどうかは、原則として、「請負契約」の性質を有する業務委託契約書の場合が多いですが、改正民法で、「委任契約」による成果(仕事の完成責任を負わないもの)も明記されておりますので、「委任契約」の性質のある業務委託契約書の場合でも、無体財産権(特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権)の譲渡にかかるものとなっている場合、「第1号の1文書」に該当します。

第1号文書の印紙税額

 第1号文書の印紙税額は契約金額に応じて、以下のとおりとなります。

1号文書印紙税額一覧表 

 

「非課税文書」と「不課税文書」の違い

「非課税文書」と「不課税文書」は、どちらも印紙の貼付が不要ですが、その違いについては、以下のとおりです。


hikazeitofukazei「非課税文書」とは、印紙税法別表第一(課税物件表の課税物件欄)のいずれかの号(課税文書)に該当するものの、除外規定で課税対象とならない文書をいいます(印紙税法第5条)。

 

例えば、印紙税法別表第一の「第2号文書」に該当する契約書であっても、契約金額が1万円未満の場合、「非課税文書」に該当し(例外あり)、印紙の貼付は必要ありません。

 

「不課税文書」とは、印紙税法別表第一(課税物件表の課税物件欄)のいずれにも該当しない文書のことをいい、印紙税の課税対象外です。

 

業務委託契約書において、「非課税文書」と「不課税文書」の例は以下のとおりです。

非課税文書の例

  • 契約金額が8,000円の請負契約書(印紙税法第5条第1号)
  • 国等(国、地方公共団体、別表第2に掲げる者)が作成した請負契約書
    (=国等以外の者が保存する請負契約書)(印紙税法第5条第2号)

 

不課税文書の例

  • ソフトウェア保守契約書(Q&A回答、修正版の提供など)
  • ソフトウェア使用許諾契約書
  • ASPサービス契約書
  • ハウジングサービス契約書、ホスティングサービス契約書
  • 物品売買契約書(継続的取引でなく、一時的・単発のもの)
  • 準委任契約書
  • 秘密保持契約書(NDA)
  • 労働者派遣契約書(基本契約書・個別契約書)
  • レンタル契約書、リース契約書
  • 委任状
  • 情報提供契約書

※上記につきましては、一般的な契約書について、タイトルのみで判別したものであり、具体的には文書の記載内容により異なる場合があります。

 

 

注文書と仮注文書

業務委託契約書を注文書・注文請書や仮注文書・仮注文請書で締結する場合にも、印紙の貼付が必要となる場合があります。

 

この場合も、通常の業務委託契約書で締結する場合と同様、課税文書に該当するかどうか(「第1号の1文書」、「第2号文書」、「第7号文書」に該当するか)で判断されます。

 

そもそも、契約というものは、申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致することによって成立します。

 

そのため、注文書は、原則として、契約の申込みの意思表示を行うためのものであり、注文書を交付したのみでは契約が成立したことにはならず、課税文書となりません。

 

その一方で、注文請書は、契約の申込み(注文書)に対する承諾の意思表示を行うためのものであり、注文請書を交付することで、契約が成立したことを証するものとなりますので、課税文書となります。

 

ただ、注文書でも、見積書に対する承諾の意思表示となる等、注文書の交付により契約が成立することとなれば、課税文書となりますので、ご注意ください。

 

 

注文書と注文請書で契約する場合

 

※契約相手の作成した見積書などに基づく申込みであることが記載されている申込書は印紙の貼付が必要となります。

 
また、仮注文書・仮注文請書(仮契約書含む)による締結でも、同様です。

 

確かに、仮注文書・仮注文請書は、あくまでも仮で、正式な契約書ではありませんが、印紙税は文書に対して課税されますので、仮注文書にも印紙の貼付が必要となりますから、注意が必要です。
なお、仮注文書・仮注文書による締結後、契約条件が調い、正式に契約書を締結する場合も、再度課税されることになります。

自動更新条項のある場合

継続的に生じる保守契約書や清掃契約書などの「継続性のある請負契約書」のうち、契約金額の記載のある契約書(「第2号文書」)について、自動更新条項を規定して締結した場合、自動更新後の契約金額は、印紙税を算定するにあたり考慮しません。

 

例えば、契約期間1年で、契約金額が年額90万円、自動更新後(2年目・3年目)の契約金額を年額90万円とした場合、自動更新後(2年目・3年目)の金額を算定根拠としたり、1年目の契約金額と合算したりすることはありませんので、記載金額90万円の「第2号文書」となります。

 

自動更新後については、あくまでも、自動延長した場合の条件ですから、最初の1年目の契約金額で算定するということになるのです。

 

自動更新する場合の印紙

国や地方公共団体と締結する場合

まず、国や地方公共団体と契約を締結する場合、国や地方公共団体が契約書を作成する場合、その契約書に印紙税は課税されません(印紙税法第5条第2号)。

 

例えば、民間企業が国や地方公共団体と契約書を締結する場合、民間企業が契約締結後に保存する契約書は、国や地方自治体が作成したものとみなされます(印紙税法第4条第5項)ので、印紙の貼付は不要ということになります。
一方で、国や地方自治体が契約締結後に保存する契約書は、民間企業が作成したものとみなされますので、民間企業が所定の印紙を貼付する必要があります。

 

このように、民間企業と国や地方公共団体が契約書を締結する場合、必ず、印紙の貼付された契約書を国や地方公共団体が保存するようにし、印紙の貼付されていない契約書を民間企業が保存するようにしないといけません。
なお、民間企業が国や地方公共団体と請負の性質を有する業務委託基本契約書を締結する場合、国や地方公共団体は、令26条第1号に定める「営業者」に該当しませんので、「第7号文書」とはなりません。ご注意ください。

 

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印紙を貼付しなかった場合

契約は契約当事者の合意により成立しますので、印紙を貼付しなかったり、貼付し忘れた場合でも、契約の効力に特段影響はありませんが(契約自体は有効)、ペナルティとして過怠税を徴収され、結果、通常の印紙税額より多く納付する必要があります。

    • 本来印紙を貼付すべき課税文書に印紙の貼付しなかった場合
      →正規の印紙税額の3倍(納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額との合計額)に相当する過怠税を徴収されます。
    • 印紙を貼付し忘れた場合で、税務調査を受ける前に自主的に申告したとき
      →正規の印紙税額の1.1倍に相当する過怠税を徴収されます。

 

消印

契約書に貼付した印紙には、契約書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければなりません(印紙税法第8条)。
これは、一度貼付した印紙の再利用を防止するためです。消印は、契約当事者のうち、1人がすればよく、全員でする必要はありません。

 

また、消印の方法については、印鑑であることが一般的ですが、署名でもOKとされていて、作成者、代理人、使用人、従業者のものとされています(印紙税法施行令第5条)。

 

上記のように、課税文書に印紙を貼付していても、消印をするのを忘れていた場合、ペナルティとして、本来貼付すべきであった印紙の金額と同額の過怠税を納付することになります(印紙税法第20条)。

 

仮に7号文書だとすると、消印をしていないばかりに、別に4,000円負担することになってしまいます。せっかく印紙を貼付している訳ですから、過怠税を支払うのはもったいないです。注意しましょう。

 

なお、印紙に消印をしない場合でも、これは印紙税法上の義務ですから、契約の効力に特段影響はありません。

 

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よくある印紙の間違い

契約実務を長年経験して、これまで多くの方が業務委託契約書の印紙について、間違えているのを見てきました。
そのよくある間違いを以下にまとめました。

  • 貼付しなければならないのに貼付していない。
  • 本来の額より少なく貼付している(とりあえず200円貼っている)。
  • 消印をしていない。
  • 本来の額より多く貼付している(意外と多いです)。
  • 貼付しなくていい契約書(「非課税文書」や「不課税文書」)に貼っている。

保守など継続性のある請負契約の印紙は難解です。
間違った貼り方をすると印紙税法違反となります。

サービス料金SERVICE FEE

業務委託契約書の印紙にお悩みの方へ

業務委託契約書の印紙に悩んでいる方は非常に多くいらっしゃいます。
印紙を貼付する必要があるのかないのか、いくらの印紙を貼付すればいいのかなど判断が難しいケースが多いのではないでしょうか。

 

実際、印紙を貼付する際に、これが正しいだろうと勘違いや思い込みをしていることが非常に多く、本来貼付すべき印紙税額と全然違ったりして、後で愕然とすることを多々経験してきました。
大企業同士でも、担当者が勘違いや思い込みをしていることがよくあります。

 

また、企業の大小にかかわらず、契約相手とのやり取りで、何度説明してもご納得いただけず、ご理解いただくのに非常に苦労した経験もあります。

 

税務監査で指摘を受け、後で高額な過怠金を請求されたり、社会的な信用を失うことがないように、最初から印紙税に精通した契約書の作成・リーガルチェックの専門家にご相談いただくのがベストだと思います。

 

ぜひご相談をお待ちしております。

業務委託契約書の印紙について、社内研修することもできます。
ご興味のある企業様は、お気軽にご相談をお願いいたします。

こんなお悩みありませんか?

  • そもそも印紙を貼付する必要があるのかわからない。
  • 「第2号文書」「第7号文書」「不課税文書」とかよくわからない。
  • 契約書を変更する場合の貼付の方法がわからない。
  • 印紙を節税する方法があれば知りたい。
  • 保守契約の場合の貼付の方法がわからない。

すべて解決いたします!
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ヒルトップでは、契約書作成サービスをご依頼いただいた場合、作成段階から、印紙税額を減額したり、そもそも納めなくていい方法をアドバイスさせていただきます(リスクバランスを勘案しながらとなります)し、契約書リーガルチェックサービスをご依頼いただいた場合、お持ちの契約書をリーガルチェックし、余分な印紙税額を減額することができるかもしれません。

 

税務署は、印紙貼付の要否や印紙税額を教えてはくれますが(一般的な相談でなく詳細に聞きたい場合、税務署に足を運び契約書を見せる必要があります)、どうしたら節税できるかは教えてくれません。

 

わからないまま印紙を貼付して、後日、税務調査で指摘を受け、過怠税を課されたりすると、余分に税金を納める必要が生じますし、脱税行為をしている企業という情報が流れ、企業ブランドが低下し、社会的な信用を失ってしまうこともあるかもしれません。

 

そんなことにならないように、ぜひ、印紙税を見据えて最初から「豊富な企業法務経験による契約書作成・リーガルチェックの専門家」におまかせください。

※行政書士には、法律で守秘義務が課されていますので、秘密は厳守いたします。お気軽にご相談ください。

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