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取引基本契約書とは?注文書請書とともに徹底解説!

最終更新日:2024年5月7日

 

取引基本契約書について、徹底解説をしております。

 

 

取引基本契約書とは?

取引基本契約書と個別契約書の関係「取引基本契約書」とは、同じ当事者間で、継続的に反復して取引するケースがあり、このような継続的取引に共通する基本的な取り決めを事前に定めておくための契約書です。

 

個別の取引の契約については、この「取引基本契約書」に基づいて、発注日、品名、数量、単価など限られた事項を定めた注文書と注文請書(両方ともA4用紙1枚程度)を取り交わすなど簡易な様式で成立することになります。

 

なお、継続的取引には、売買、請負、賃貸借、使用貸借、金銭消費貸借などの契約が複合的に混在していることがありますが、実務の経験からは、主に、商品やサービスなどの売買、製品の製造請負の片方又は両方を想定した取引で、これらに付随して、設備・機械・工具等の賃貸借や使用貸借についても定めらていることが非常に多いです。

 

また、「取引基本契約書」というタイトルになっていながら、実質的に「業務委託基本契約書」となっているものものありますが、ここでは、商品や製品などの売買、製品の製造請負の取引を前提として解説していきます。

 

 

 

個別の売買契約書や製造委託契約書との違いは?

 取引基本契約書と個別の売買契約書や製造委託契約書(基本契約ではない)とでは、基本的には大きく異ならないのですが、取引基本契約書に以下の内容が規定されている点で異なります。

  • 個別の契約に適用させる基本となる事項を定める旨

  • 個別契約の成立要件

  • 個別契約で取り決めるべき規定
  • 取引基本契約と個別契約との抵触があった場合の規定(どちらが優先するか)

 

 

 

取引基本契約書作成のポイント

取引基本契約書作成のポイントをまとめてみました。どれも実務に長年携わってきた経験に基づいています。参考にしてください。

 

契約不適合責任

2020年4月1日の民法改正により、従来までの「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改正されました。

売買契約において、引渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない(契約不適合)ときは、買主は、売主に対し、履行の追完請求(目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡し)、報酬の減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができます(民法562、563、564)。

買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、その旨を売主に通知しないときは、売主の契約不適合責任を追及できないとしています(民法566)。

ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この限りではないとしています(民法566但書)。

この契約不適合責任期間は、任意規定であり、民法の規定では、売主の責任が長期に及ぶことから、契約当事者が合意のうえで、「契約不適合を知った時から」でなく、「検査に合格した時から」としたり、「1年」を「6か月」とするなど短期間に修正することができます。

そのため、契約不適合責任について、自社の方針を社内でしっかりと整理しておくことが重要です。

もし、その方針と異なる内容の契約書を提示された場合は、契約相手としっかりと交渉をしましょう。

所有権移転の時期

取引において、商品の所有権は最終的に売主(受託者)から買主(委託者)に移転することになります。

この点、民法における所有権の移転時期については、契約が成立した時に移転するとあります。

しかし、実際の取引で、契約が成立するとなると、まだ引渡もされておらず、場合によっては製造もされていないこともあるでしょうから、この定めは取引基本契約書の取引に適したものではありません。

そこで、民法の規定を修正するため、「所有権の移転」時期を定める条項を置きます。通常、「納入した時点」、「納入にかかる検査が完了した時点」、「買主が商品の代金を支払った時点」のいずれかが考えられます。

買主(委託者)は所有権の移転時期が早い方がいいので、「納入にかかる検査が完了した時点」を希望することが多く、売主(受託者)はなるべく遅い方がいいので、「買主が商品の代金を支払った時点」を希望することが多いです。

ただ、実務で最も多く見受けられるのは「納入にかかる検査が完了した時点」です。

支払時期

支払は、取引基本契約書に定める条項中でも非常に重要な条項ですので、明確に定めておきたいところです。

民法では、売主の商品引渡しと同時に支払うこととなっておりますが、実務では、その月の取引にかかる代金を合算して、翌月末日に支払うと規定することが多いです。

また、取引基本契約書は、10年、20年など非常に長い期間継続することも多く、その間、経済情勢等が変化することもありますので、あえて取引基本契約書に規定せず、個別契約書に都度定めることも多くあります。

特別採用

特別採用とは、買主(委託者)による受入検査の結果、不合格となったものの、不良の程度が軽微であるため、買主(委託者)が使用できると認めるときは、売主(受託者)から一定額の値引きをしてもらったうえで、特別にその商品の納入を認めることをいいます。

軽微な不良がある度に、返品等のやり取りをすることはかえって経費が掛かることがあり、契約当事者双方にメリットがありますので、実務では多く運用されているのです。

金型等の貸与

買主(委託者)は、商品の製造のため、売主(受託者)に対して、自ら金型、冶工具などを貸与することがあります。

このように、金型等の使用による製造を委託する場合、金型等には、自らのノウハウが凝縮していることが多いですので、第三者に販売することのないようにするべきですし、それ以外にも、売主(受託者)に対して、金型等の複製・改造、譲渡・貸与を禁止するなどして、自らの有する金型等の権利を保護できるような規定を設けることが必要となります。

このほかにも守秘義務が存続するかなどの問題もあります。個別に検討する必要があります。

期限の利益喪失

期限の利益とは、取引基本契約書で言えば、買主(委託者)が契約に定める支払期限まで契約金額を支払わなくてもよいことで、期限が到来しないことによって得られる利益のことを言います。

したがって、期限の利益があれば、支払わなくても、買主(委託者)は債務不履行責任を負いません。

ただ、売主(受託者)からすれば、買主(委託者)の経済状態が悪化している場合にでも、支払期限まで契約金額を支払ってもらえないということになると、買主(委託者)の経済状態が更に悪化してしまい、支払の請求ができず、債権を回収できないおそれが出てきます。

そこで、民法(137条)では、買主(委託者)が次に該当する場合、期限の利益を喪失することになっています。

(1)破産手続開始の決定を受けたとき。
(2)担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
(3)担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

しかし、買主(委託者)が上記の状態になるまで期限の利益があるとすると、売主(受託者)は債権を回収できる見込みがなくなってしまいます。

そのため、買主(委託者)に、次のような経済状態に悪化の兆しが現れた場合、期限の利益喪失条項を定めておくことが重要となるのです。

(1)手形又は小切手を不渡りとしたとき
(2)差押え、仮差押え、仮処分、競売、租税滞納処分その他公権力の処分を受けたとき
(3)破産手続開始、会社更生手続開始若しくは民事再生手続開始の申立てがあったとき、又は清算に入ったとき

なお、この期限の利益喪失事項に該当すると、相当期間を猶予しないですぐに契約解除される無催告解除事由と共通になることが多いです。

個別契約で定める事項

個別契約で定めるべき事項は、取引の内容や取扱う商品によって異なりますが、必要に応じて次の事項を定めることとなります。

 

・発注日
・発注No.
・商品名
・商品番号
・仕様
・単価
・数量
・代金
・納入期日
・納入場所
・決済日
・決済方法
・梱包方法
・検査その他の受渡し条件
・原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法

 

※下請取引に該当する場合は、三条書面で定められた記載事項を規定しなければなりません。

受入検査

売主(受託者)の立場からすると、以下のポイントに留意して規定することができれば、契約リスクが減少します。

 

・検査基準
検査基準は、買主(委託者)の定める基準とするのではなく、売主(受託者)の定める基準又は買主(委託者)と売主(受託者)との間で定める基準のいずれかによると規定しておき、買主(委託者)の恣意的な基準を排除するような記載にしておくことが必要となります。また、個別契約に記載と合致するかで合否を判断するという旨の記載も合理性があります。

 

・検査期間
検査期間について定めなかったり、長めに定めてしまうと、買主(委託者)が検査をなかなか終了せず、検査合格も先延ばしされ、結果として代金を支払ってもらえなくなります。

納入日からなるべく短めの期間を明確に定めておきたいです。また、予め定めた検査期間内に、検査の結果を通知されない場合、合否が判明せず不安定な立場を強いられるので、検査期間を経過した時点で、「みなし合格」とすることで、納入も完了し、代金の支払へとつながりますので、売主(受託者)としては、必ず定めておきたい条項となります。

 

・不合格理由
検査によって、買主(委託者)が不合格通知をする場合、その記載内容を事前に定めておかなければ、買主(委託者)から出された不合格通知が不明確で、不合格理由がわからないということにもなります。

 

そのようなことがないよう、取引基本契約書において、「合理的かつ詳細な理由を明示して、検査の結果不合格となった旨通知するものとする」などと定めることが重要となります。

 

 

 

注文書と注文請書で契約できるの?

取引基本契約書に基づく個別契約の成立取引基本契約書では、継続的な取引に共通する基本的な取引条件が定められているだけで、具体的な権利義務関係が定められている訳ではありません。

 

そのため、個別の契約は、注文書(申込書)と注文請書(承諾書)を取り交わすことによって行われていることが多いです。

注文書と注文請書の取り交わしも、申し込みと承諾の意思表示が合致していることになりますので、契約は有効に成立することになります。

 

注文書と注文請書は、A4用紙の表面または両面にプリントアウトされ、押印をすることが一般的ですが、売買契約であれば、取引の頻度が非常に高いですので、注文書と注文請書をPDFにしてメールでやり取りすることによって契約することもあります。

 

また、通常、取引基本契約書には、契約条項、目的物、仕様などが記載されていますので、この注文書と注文請書には、個別契約に必要な案件独自の情報が記載され、一般的な売買契約書や製造委託契約書よりもはるかに少ない情報の規定だけですむことになります。

 

 

 

取引基本契約書の印紙

取引基本契約書は、原則として、売買と請負の両方に属することとなり、以下の5つの要件のすべてを満たせば、印紙税法上、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当することになり、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。

 

  • 営業者の間における契約であること

  • 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること

  • 2以上の取引を継続して行うための契約であること
  • 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
  • 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

 

※取引基本契約書はほとんどのケースで、4,000円の収入印紙を貼付しているのではないでしょうか。

 

取引基本契約書を締結する相手には、買主(委託者)や売主(受託者)の両方がいて、契約書を数多く締結する傾向があり、1通4,000円の印紙税を負担するとなると、結構負担が重くなります。

 

取引基本契約書について、収入印紙を200円とすることもできますので、取引基本契約書の作成やリーガルチェックのご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。

 

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