業務委託基本契約書とは?個別契約や注文書請書も徹底解説! - 契約書の作成リーガルチェックは企業法務経験豊富な行政書士へ

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業務委託基本契約書とは?個別契約や注文書請書も徹底解説!

最終更新日:2023年9月22日

業務委託基本契約書について、徹底解説をしております。

 

 

業務委託基本契約書とは?

「業務委託基本契約書」とは、発注者と受注者との間で継続的に生じるすべての業務委託取引に共通する基本的な取り決めを定めるための契約書であり、個別の業務委託取引については、この「業務委託基本契約書」に基づいて、注文書と請書を取り交わしたり、個別の契約書を締結するなど簡易に個別契約が成立することになります。

 

※個別契約には、「業務委託基本契約書」に記載の条項を記載する必要はございませんので、簡易にすることができます。

 

特に、システム開発・保守・運用・SESなどの業務委託取引にあたって、まずは「業務委託基本契約書を締結してから取引を開始したい」という当事者が非常に多く、業務委託取引の出発点となっていると言えます。

 

ちなみに、「業務委託基本契約書」は、主に、「請負基本契約書」や「委任(準委任)基本契約書」と言えます。

なお、「請負」と「委任(準委任)」の違いについては、こちらをご参考にしてください。



 

一般的な業務委託契約書との違いは?

「業務委託基本契約書」と一般的な業務委託契約書(基本契約ではない、個別の)とでは、ほとんど同じ条項が規定されますが、基本契約書に以下の内容が規定されている点で異なります。

 

  • 個別の契約に適用させる基本となる事項を定める旨
  • 個別契約の成立要件
  • 個別契約で取り決めるべき規定
  • 業務委託基本契約と個別契約との抵触があった場合の規定(どちらが優先するか)

 

また、実務では、タイトルは「業務委託基本契約書」になっているのに、実体は、個別契約の「業務委託契約書」として締結されているものが非常に多く見受けられます。

 

上記の内容を規定しているものに対してのみ、「業務委託基本契約書」とするべきでしょう。

 

そうしないと、「業務委託基本契約書」の「基本」に反応して、印紙税法的にも「第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)」として取り扱う可能性が生じてしまい、不要な印紙税を負担しなければならなくなってしまうからです。

 

 

業務委託基本契約書のパターン

「業務委託基本契約書」には、取引ごとに以下のパターン(型)があります。

 

1.開発制作型(請負/成果物納入型)

 →ソフトウェア・アプリ開発やホームページ制作など成果物を納入するもの

 例:開発基本契約書、構築基本契約書、ホームページ制作基本契約書、プログラム製造基本契約書、カタログ作成基本契約書、デザイン制作基本契約書など

 

2.保守運用型(請負・準委任/役務提供型)

 →ソフトウェア・アプリの保守・運用など役務の提供を行うもの

 例:保守基本契約書、運用基本契約書、清掃基本契約書、洗車基本契約書など

 

3.SES型(準委任/役務提供型)

 →システムエンジニアリングサービスで、ある企業に常駐して役務の提供を行うもの

 ※SESは、本来、準委任/役務提供型であるのですが、実際にお話を聞いてみたり、契約書を拝見すると、請負/成果物納入型である場合が多くあります。

 例:SES基本契約書、マネキン基本契約書、理容美容基本契約書、エステティック基本契約書など

 

 

 

業務内容が詳細に業務委託基本契約書に規定されているかどうか

 「業務委託基本契約書」には、当然のことながら、契約条項が定められていますが、業務内容をあらかじめ規定しているどうかで、以下の違いがあります。

 

1.業務内容が詳細に「業務委託基本契約書」に規定されているもの

→個別契約(注文書と請書)では、業務内容を記載したり、これを詳細に記載した仕様書を添付する必要がありません。複数の業務の中から選択する場合、業務委託基本契約書に定められている仕様から、個別契約で選択するだけでよいこととなります。

 

2.業務内容が詳細に「業務委託基本契約書」に規定されていないもの

→個別契約(注文書と請書)では、業務内容を詳細に記載したり、これを詳細に記載した仕様書を添付するなど具体的な仕様を個別契約の締結の都度規定する必要があります。

こちらのパターンのほうが非常に多いです。

 

 

 

開発にも保守にも対応できる業務委託基本契約書

上記で「業務委託基本契約書」の種類を紹介しましたが、通常、取引ごと(開発制作型と保守運用型があればそれぞれ)に「業務委託基本契約書」を結ぶ必要があります。

 

実際、多くの企業が開発制作型の「業務委託基本契約書」で締結しておいて、保守運用型にも無理矢理適用させることが多いようです。

 

しかし、これでは保守には、納入がなく、保守(修理等)したことを報告することが必要であるにもかかわらず、報告に関連する条項がなかったりと、実態とは大きくかけ離れてしまいます。

 

それを是正するには、開発制作型の「業務委託基本契約書」とは別に、保守運用型の「業務委託基本契約書」も必要となります。

 

しかし、それでは、「業務委託基本契約書」の印紙が高額(1通4,000円)ですから、2通分の印紙代(4,000円×2)が必要となってしまい、負担が大きすぎます。

 

そこで、このような「開発にも保守にも対応できる業務委託基本契約書」を準備しておけば、1通分の印紙(4,000円×1)の貼付だけですみ、節税にもつながります。

 

もちろん、契約書の締結や管理の手間も軽減されます。

 

これは開発制作型や保守運用型の取引を行う機会が数多くある会社であれば、その分節税ができますので、非常に有益な手段であると言えます。

 

 

 

当事務所では、「開発にも保守にも対応できる業務委託基本契約書」を作成することができますので、お気軽にご相談ください。 

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業務委託基本契約書の印紙

 「業務委託基本契約書」は、原則として、業務の性質が「請負」か「委任(準委任)」かのいずれかに属することとなりますが、単に事務処理を行う「委任(準委任)」であれば、販売の委託や1号の1文書に該当しなければ、不課税文書(0円)となります。

 

また、仕事の完成義務を負う請負契約で、以下の5つの要件のすべてを満たせば、印紙税法上、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当することになり、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。

 

  • 営業者の間における契約であること
  • 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
  • 2以上の取引を継続して行うための契約であること
  • 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
  • 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

 

 

当事務所では、印紙税額を節税できる「業務委託基本契約書」に対応することができますので、お気軽にご相談ください。 

 

 

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単価契約

業務委託基本契約書に基づかないで、一般的な業務委託契約書を個別に締結する場合、その契約書に、単価の取り決めがあって、具体的な契約金額がないことがあります。

単価の取り決めとは、例えば、この業務を実施した場合はいくら、あの業務を実施した場合はいくらなどと定めておくことです。

これは保守契約など継続的な業務委託契約書で多く見られるパターンですが、単価だけ定めてあっても、契約書自体の契約金額が定まっていないことになりますから、業務委託基本契約書と考えられ、前述の5つの要件のすべてを満たせば、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当することになり、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。

 

 

 

業務委託基本契約書の作成を希望する方へ

当事務所では、「業務委託基本契約書」の作成を希望するお客様に対しては、現在、どのような業務を委託・受託(発注・受注)しているのか、そして、今後実施する業務の見通しをお聞きしております。

それによって、お客様に最適な「業務委託基本契約書」を作成しております。

「業務委託基本契約書」は、7号文書に該当すれば、印紙も4,000円と高額ですし、取引先が増えれば増えるほど印紙だけでなく、契約書締結や締結後の管理の負担も大きくなります。

当事務所では、お客様の負担を考えて、アドバイスさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

 

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業務委託基本契約書のリーガルチェックを希望する方へ

「業務委託基本契約書」をすでにお持ちのお客様の契約書を拝見すると、せっかくご自分でご用意いただいているのに、十分ではなく、むしろ不利な条項が配置されていることも結構あります。

また、最近の法改正(2020年民法改正など)が反映されておらず、瑕疵担保責任の条項が残ったままなど古い状態になっていたりということも多くあります。

「業務委託基本契約書」を作成した当時とは、法令も改正されていたりします。

また、お客様が取引を継続される中で、実務での注意点などが積み重なっているはずですので、少しでも有利になるように、そして、業務委託取引の実態と合致するように見直しをされることを推奨いたします。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

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