業務委託契約書のパターン

今日は、業務委託契約書のパターンについてです。

業務委託契約書を作成するにあたり、まず気を付けなければならない点は、ソフトウェアの開発などのように、成果物を作成し、これを納入することを前提としたものなのか、それとも、ソフトウェア保守などのように、何かを作業し、その結果を報告するものなのか、といった点です。

まず、成果物納入型は、開発業務委託契約などにおいて、成果物が発生し、委託先から委託元へ契約で定められた納期に間に合うように、あらかじめ定められた要件定義や設計書などに基づいて作成・納入されるものです。

成果物納入型の業務委託契約書の代表例としては、ソフトウェア開発、システム構築、ホームページ制作などが挙げられます。

このような成果物のある業務委託契約では、成果物そのものの記載はもちろん、納期、検査、成果物の所有権の移転時期、危険負担、成果物の著作権を誰がもつかなどの記載が必要になってきますので、注意が必要です。

また、成果物があるものは仕事の完成義務を負うことになりますので、いわゆる「請負」の性質を持った業務委託契約書となります。

そのため、報告も試験結果報告書などが想定され、成果物として、納入されることとなります。

一方、役務提供型は、ソフトウェア保守、システム保守、設備移設などが挙げられます。

役務提供型は、成果物が発生しませんから、単に役務を提供(=業務を実施)するだけにとどまります。

ただ、注意しなければならないのが、役務提供型は、契約の性質として、2つのパターンが想定されることです。

それは、請負の性質(仕事の完成義務を負うもの)のあるパターンと委任の性質(事務処理をしていればいいもの)のあるパターンの両方があるのです。

どちらかに属するかは、個別契約ごとに、その業務の性質をみなければなりませんが、請負のほうが重い責任を負うことになります。

更に、業務が終了した場合の報告の性質も、請負か委任のどちらに帰属するかで意味が異なります。

請負であれば、請負契約に基づき、仕事の完成義務を負う訳ですから、仕事の完成を報告するものとなります。

一方で、委任であれば、委任契約に関連する付随的義務としての報告義務(民法第645条)と考えられます。

(受任者による報告)

第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

業務委託契約に報告業務が含まれていると、それ自体が仕事の完成したことを証するものだから請負契約だと即座に決めてしまわれる方を多く見ますが、必ずしもそうではないことになりますので、注意が必要です。

このように、業務委託契約書は、成果物納入型か役務提供型かを判断して、作っていくことになります。

よく、このあたりを理解しないで、WEBサイトや書籍から「自分流」の業務委託契約書を作ってしまうことがありますので、注意が必要です。

契約後のビジネスを安心して進めるためにも、ぜひ業務委託契約書の作成の専門家に依頼してもよろしいのではないでしょうか。

お待ちしております。