支払条項

今日は、開発や保守などの業務委託契約書で非常に重要な支払条項についてです。

 

業務を委託される側やサービスを提供する側からすれば、いつお金を回収できるかは非常に重要です。

 

業務委託契約書の支払時期は、民法633条・民648条に定めるとおり、引渡と同時か後払いが原則となります。

しかし、これは強行規定ではないため、契約当事者間で支払時期を任意に定めることができます。

 

(報酬の支払時期)
第633条  報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第624条第1項の規定(後払い)を準用する。

 

(受任者の報酬)
第648条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2.受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定(期間経過後の支払)を準用する。
3.委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

業務委託契約書のうち、ソフトウェア開発やホームページ作成のような成果物納入型は、仕事の完成が前提となっていますので、圧倒的に後払いが多いです。実際、民法は引渡と同時だと規定されていますが、実際には、仕様どおりの成果物が納入されているかを検査するのに時間を要するため、引渡と同時とする契約書はほとんどないと言っていいでしょう。

 

また、システム保守や運用のような、成果物のない役務提供型は、必ずしも仕事の完成が前提となっていないこともあり、業務を実施するための体制を準備することが必要であるため、一括前払いや月払いになることが多いようです。

あと、支払には、前払い・後払いの他にも、いろいろなパターンがあります。
 例えば、四半期ごとに分割して支払ったり、初期費用とランニングコストを別々に支払ったりするなど、委託者からのリクエストで条項が決まること多く見られます。

 

更に、下請法(下請代金支払遅延等防止法といい、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律)の対象となる取引では、物品等を受け取った日(受領日)から60日以内で支払日を定めなければならなりませんので、注意が必要です。

これは、受領した物品等の社内検査が済んでいないことはを理由に、支払を引き伸ばすことができないということですので、場合によっては、支払の条項一つで違法となる可能性もあるのです。

 

ヒルトップでは、これまでの経験で、様々なパターンで支払条項を規定してまいりましたので、契約後のビジネスを安心して進めるためにも、ぜひ業務委託契約書の作成の専門家に依頼してもよろしいのではないでしょうか。

お待ちしております。