押印権者でないプレーヤーの記載方法

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今日は、保守や運用契約のプレーヤーについて。

契約書に甲乙と記載せず、押印もしないのに、プレーヤーとして登場する場合の記載方法です。

これは保守や運用などの継続的な契約でよく見られます。

例えば、保守協力会社がお客様と締結するハードウェア保守契約書で、通常、保守協力会社は、お客様から直接依頼を受けます。

しかし、お客様の規模が大きくなると、保守の運用を第三者企業に丸投げすることがよくあります。

そうすると、お客様からでなく、第三者企業から保守業務の依頼を受けるということになります。

本来なら、お客様と第三者企業と保守協力会社が三者契約するのがベストなのですが、既にお客様が第三者企業と保守契約を締結をしていて、三者契約には応じてもらえません。

そこで、お客様との二者契約となります。

この場合、契約書への押印権者ではない第三者企業の義務を以下のように記載してしまうことが多いです。

「丙(第三者企業)は、乙(保守協力会社)に連絡するものとする。」

この記載では、第三者企業は、契約書への押印権者ではありませんので、第三者企業の義務を定めても仕方がありません。

記載するなら、以下のような条項でしょうか。

「甲(お客様)は、丙(第三者企業)をして、乙(保守協力会社)に連絡させるものとする。」

これなら、押印権者である甲の義務を定めることになりますので、契約書への記載としては適切です。

高校時代に英語で習った「make+人+原形」という使役の形となり、「人をして●●させる」ということになります。

契約書には、前者のような記載をよく見ますが、押印権者でない者の義務を定めてもあまり意味がないので、気を付けた方がいいと思います。