印紙税は誰が払うのか
業務委託契約書の印紙税は、甲(注文者)が支払うのか、それとも乙(請負人)が支払うのかといった質問を受けることがあります。
法律上はどうなっているかというと、印紙税法第3条第2項に、以下の条項があります。
一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
この「連帯して」というのは、当事者のうち、誰か1人が払ってもいいし、双方が折半してもいいし、双方で決めた負担割合で払ってもいいし、とにかく、作成した通数分の印紙税額はしっかりと支払ってくださいということになります。
とはいうものの、実務では、契約締結に関する費用は公平に折半するというのが原則です。
自分の経験上、99%の取引が公平に負担しています。
残りの1%として、実際にあったのが、契約相手から送られてきた契約書の2通ともに収入印紙が貼られていることがありました。これを受けて、現場の担当者が慌てて、「こちら(自社)で貼らなくていいのですか?」という質問を受けたことがあります。
この場合ですと、「連帯して負担する」との条項があり、誰か1人で払ってもいいのですから、これはこれで好意を受け止めて問題ありませんので、あえてこちらから貼る必要はありませんと回答しました。
逆に、契約相手が収入印紙を貼ってくれない場合、また、貼っていてもその額が課税金額よりも少ない場合が問題です。
先ほどの条文に「連帯して」とありますから、税務署は、どちらの相手にも請求できることになりますので、1通分をすでに貼った当事者にも印紙税を負担する義務はあります。
更に、貼っていない契約書を保管しているところに税務調査が入ると、過怠税も課され、貼らなかった印紙税額とは別に、2倍の税額がかかってくることになりますので、注意が必要です。
条文に「連帯して」とある訳ですから、印紙税額について、自分だけ納得していればいいのではなく、しっかりと契約相手と合意をして、正しい印紙税額を支払う必要があるのです。