下請法3条書面(発注書面)交付義務を解説! - 契約書の作成リーガルチェックは企業法務経験豊富な行政書士へ

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業務委託契約書における下請法3条書面を徹底解説!

最終更新日:2023年10月23日

 

業務委託契約書が下請法に定める「下請取引」に該当する場合、「親事業者」が「下請事業者」に交付することが必要となる発注書面(3条書面)について解説いたします。

 

 

 

発注書面交付義務

「親事業者」は、下請取引を発注した場合、ただちに、「下請事業者」に3条書面を交付しなければなりません(第3条)。

 

この発注書面を3条書面といいます。

 

また、発注するタイミングで、契約書を締結できる場合もありますが、必要記載事項が遺漏なく規定された契約書を締結できれば、発注書面を交付する必要はありません。

 

実際、自分の知る限り、発注書面を交付するのに代わって、契約書を締結する場面のほうが多いように感じております。

 

そのため、以下の3条書面に記載すべき必要記載事項を盛り込んた契約書を締結すればいいということになります。

 

 

 

発注書面交付の目的

「親事業者」が「下請事業者」に発注書面を交付しないと、口頭による発注ということになりますので、業務内容や成果物の内容、支払条件などの発注内容の詳細が決まらない状態で、「下請取引」がスタートすることになります。

 

当然、発注内容に疑義が生じやすくなりますし、いわゆる「言った言わない」の争いになります。

こうなりますと、立場の強い発注側である「親事業者」が有利になり、「下請事業者」が不利となることが圧倒的に多いです。

 

そのため、「親事業者」が発注内容をあらかじめ明確にして発注することで、事前にトラブルの防止につながりますので、この発注書面交付義務が定められているのです。


 

 

3条書面に記載すべき必要記載事項

発注書面(3条書面)に記載すべき必要記載事項は以下のとおりです。必ず記載しましょう。

  • 「親事業者」及び「下請事業者」の名称(番号、記号等による記載も可)
  • 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
  • 「下請事業者」の給付の内容(委託の内容が分かるよう、明確に記載する。)
  • 「下請事業者」の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、役務が提供される期日又は期間)
  • 「下請事業者」の給付を受領する場所
  • 「下請事業者」の給付の内容について検査をする場合は、検査を完了する期日
  • 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが、算定方法による記載も可)
  • 下請代金の支払期日

 

以下の内容は、該当しないこともありますが、該当することになれば、必ず記載しましょう。

  • 手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
  • 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、「親事業者」が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
  • 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
  • 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法

 

「下請取引」に該当しているのにもかかわらず、それに気づいてない方が多いです。
違反すると罰則もあります。

 

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3条書面の交付時期

発注書面(3条書面)の交付時期は、「製造委託」、「修理委託」、「情報成果物作成委託」、「役務提供委託」の取引をした場合、「ただちに」交付する必要があります。


「ただちに」交付するのは、「下請事業者」が取引中または取引終了時に発注書面(3条書面)を交付されたとしても、後になって、「親事業者」も「下請事業者」も発注時の発注内容を確認することができないからです。

このことから、いわゆる「事後契約」「遡及契約」は、下請法上問題となります。

 

また、下請法第3条に、「親事業者」が発注する場合、発注書面(3条書面)を「書面」または「電磁的記録」により交付する義務がありますので、いわゆる「口頭発注」についても、下請法上問題となります。

 

 

 

仕様が定まらない場合

発注書面(3条書面)を交付するタイミングであるにもかかわらず、仕様を定めることができず、「下請事業者」の給付内容を定めることができない場合、発注書面(3条書面)にはどう記載すればよろしいでしょうか。

 

発注書面(3条書面)を交付する時点で、仕様を定めることができない「正当な理由」があるかを確認します。

 

「親事業者」は、「正当な理由」がある場合、「下請事業者」と十分に協議して、いつ仕様が決定するか(予定期日)を発注書面(3条書面)に明記して、「下請事業者」に発注書面(3条書面)=「当初書面」を交付すれば下請法違反にはなりません。

  

その後、仕様が決定した場合に、「親事業者」は、「当初書面」に記載のない事項について記載した「補充書面」を「ただちに」交付することになります。

 

この場合、「当初書面」と「補充書面」は、「本補充書面は、●年●月●日付注文書(当初書面)の記載事項を補充するものである。」とするなど、相互に関連していることを明確になるようにする必要があります。

 

 

 

 

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罰則

「親事業者」が発注書面(3条書面)交付義務を遵守しなかった場合、違反行為をした代表者、代理人、使用人その他の従業者は、50万円以下の罰金に処せられます(第10条第1号)。会社も同様です(第12条)。

 

 

 


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