業務委託契約書の委託と請負の違いを徹底解説!
最終更新日:2025年12月8日
業務委託契約書の委託と請負の違いについて、詳細に解説しております。
委託と請負は何が違うの?
「委託」と「請負」は、「業務委託」や「業務請負」など、派遣ではないという意味で広く使用されることが多く、日常的にほぼ区別されずに使用されています。
では、この「委託」と「請負」は何が違うのでしょうか?
「委託」は、仕事の完成責任を負う「請負」や「業務請負」と区別するため、「委任(準委任)」に近い意味で使われることがあります。
ただ、これらの違いはわかりづらいというご相談を多くいただきますので、「委託」と「請負」の違いについて、詳細に解説していきます。
委託とは?
業務委託契約書における「委託」とは、発注者がある業務の実施を外部の事業者(企業や個人)に依頼することをいいます。
「委託」というのは、特に法律に定められたものではなく、その法的性質は、主に、民法の「請負」か「委任」のいずれか、又はこれらの混在した契約となります。
そのため、「委託」を理解するためには、まず「請負」と「委任」を押さえることが前提になります。
委任で負う責任は、「請負」で負う責任よりも比較的軽いと言えそうです。
請負とは?
「請負」とは、当事者の一方(請負者)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約のこと(民法632条)をいいます。
「請負」の場合は、請負人が仕事を完成する義務を負いますので、仕事の完成責任を負う成果を引き渡したり、業務を完了させるなど、仕事を完成させなければ、報酬が発生しません。
また、一旦仕事が完成しても完成した目的物に契約不適合(種類または品質に関して契約の内容に適合しないこと)があれば、注文者から履行の追完請求(目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡し)、報酬の減額請求、損害賠償請求、契約の解除をされる契約不適合責任を負います。
たとえば、システム開発などのように、ただ業務を実施すればいいという訳ではなく、ユーザの要求する仕様に合致するシステムを納入しなければ、仕事を完成させることにはなりません。
委任とは?
委任(準委任)とは、受任者が「一定の事務を適切に処理する義務(善管注意義務)」を負うものであり、受託者には完成義務はありません。
例としては、医師の診療契約が典型で、医師は最善を尽くす義務を負いますが、必ず治療の結果を保証するものではありません。
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委託と請負の違い
契約実務では、「委託」は「請負」に「委任」の要素を含むことが多く、より広い概念として使用されています。
- ・「委託」=「請負」+「委任」を含む広い概念
- ・「請負」=仕事の完成責任を負う狭い概念
つまり「委託」が「請負」の性質を持てば、それは実質「請負」になり、「委任」の性質を持てば「委任」ということになります。
民法に「委託」という概念自体はないため、実務では民法上の「委任」と「請負」の違いを踏まえて判断することになります。以下の「委託と請負の違い」の図をご覧いただければ、わかりやすいと考えます。
また、以下の図で、「委託と請負の違い」をまとめましたので、参考にしてください。

上図のとおり、「委託」が「請負」の性質を有する場合、「委託」は「請負」となりますし、この場合、「委託」と「請負」の間に違いはありません。
また、「委託」が委任の性質を有する場合、「委託」は委任となり、ここで、委任と「請負」の違いと同様に、「委託」と「請負」の間に違いが出てきます。
「委託」という考え方は広範囲な考え方にはなりますが、民法にはありませんので、民法の規定に沿い、「委任」と「請負」の違いを意識すると、わかりやすいのではないかと考えます。



