業務委託契約書における下請法5条書類を徹底解説!
最終更新日:2025年12月1日
【お知らせ】
下請法は2026年1月1日より、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法(とりてきほう))」に再編され、下請取引の多くが新制度の対象となります。
下請法第5条の「5条書類(取引記録)」は、取適法第7条の「7条書類(取引記録)」として再編されました。
「5条書類」が「7条書類」に名称変更され、電子データ保存が法律上の前提として明文化された点が変更点ですが、最新の「7条書類」の内容はこちらで詳しく解説しています。
(関連)旧下請法から取適法7条書面(取引記録)の作成保存義務を徹底解説
ここでは、下請法第5条に基づき、作成、保存される「5条書類」について詳細解説いたします。
下請法第5条
親事業者は、下請取引を完了させた場合、5条書類として、下請法第5条に基づき、下請取引の結果に関する記録を行い、2年間保存する必要があります。
この取引記録を5条書類といいます。
下請法第5条は以下のとおり定めてあります。
下請法第5条の条項
(書類等の作成及び保存)
第5条 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、下請事業者の給付、給付の受領(役務提供委託をした場合にあつては、下請事業者がした役務を提供する行為の実施)、下請代金の支払その他の事項について記載し又は記録した書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成し、これを保存しなければならない。
上記の「公正取引委員会規則」とは、「下請代金支払遅延等防止法第五条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則」を指します。
この規則に規定されている項目が5条書類に記載すべき項目となり、具体的には以下のとおりです。

親事業者は、上記の項目について、下請取引が完了するごとに取引記録として作成し、保存する義務があります。
が、これまで、契約書の作成やリーガルチェックで対応している限り、これを遵守している事業者は少数派であるように感じます。
後で触れますが、これに違反すると、罰則がありますので、ご注意ください。
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下請法3条書面との違い
下請法には、5条書類とは別に、3条書面という発注書面もあります。
この3条書面を作成し、交付したからといって、5条書類を兼ねる訳ではありません。
3条書面に記載すべき項目より、5条書類に記載すべき項目のほうが多いからです。
3条書面は、取引前に親事業者から下請事業者に交付される書面ですが、5条書類は、親事業者が下請取引完了後に、その取引の記録や保存を行わなければならず、必然的に記載する項目が多くなります。
なお、5条書類のうち、3条書面ではカバーできない、取引の結果として記録すべき項目は次のとおりです。

3条書面(業務委託契約書)と合わせて、上記の項目を記録、保存すれば、下請法第5条の義務を果たすことになります。
運用上、3条書面とあわせて、上記の「結果として記録すべき項目」を追加するような運用をしている会社もあるようですが、やはり、3条書面とは別に、5条書類として、単体ですべてを網羅するような書面にするほうが間違いが少ないのではと考えております。
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罰則
下請法には3条書面という発注書面もあります。
3条書面の運用を意識している事業者が少ないとは感じますが、5条書類の作成や保存を行っている事業者はもっと少ないと感じています。
親事業者が第5条の規定による書類若しくは電磁的記録を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の書類若しくは電磁的記録を作成したとき、違反行為をした代表者、代理人、使用人その他の従業者は、50万円以下の罰金に処せられます(第10条第1号)。
会社も同様です(第12条)。
違反すると、従業者までも罰則を受けますので、下請法を遵守して、下請取引を行うことが重要となります。
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