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業務委託契約書の期限の利益喪失を徹底解説!

最終更新日:2023年12月13日

業務委託契約書の期限の利益喪失について、徹底解説をしております。期限の利益喪失は、金銭消費貸借契約書や取引基本契約書などの契約書でも見られますが、ここでは、業務委託契約書を意識したものとさせていただきます。

 

 

 

期限の利益とは

「期限の利益」とは、業務委託契約書でいえば、支払い債務のある委託者が支払期限まで委託料を支払わなくてもよいという利益のことを言います。

 

そのため、期限の利益のある限り、委託料を支払わなくても債務不履行にはなりません。


 

 

期限の利益を受ける当事者

請負や準委任の一般的な業務委託契約書では、期限の利益を受ける、つまり支払期限まで支払いを猶予してもらうことのできる当事者は、委託者であることが多いです。

 

ただ、販売代理店契約書などで、委託者からの請求収納を代行し、受託者から委託者に販売料金などを支払う場合などは、受託者が期限の利益を受けることもありますし、両者が期限の利益を受けることもあります。

 

 

 

期限の利益を喪失させる理由

受託者の立場からすると、支払期限まで支払ってもらえないというのは当然のことですが、その前に、支払期限の到来まで待てず、期限の利益を失わせないといけないという問題が生じる場合があります。

 

それは、委託者の財産状態が悪化した場合です。

委託者に期限の利益があるので、受託者が委託料の支払いを委託者に請求することができないとすると、委託者が破産等してしまって、支払いの請求ができない、つまり債権の回収ができないことになってしまいます。

 

 

 

民法での期限の利益喪失

期限の利益喪失については、以下のとおり、民法第137条に規定があります。

 

(期限の利益の喪失)
第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
 一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
 二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
 三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

ここでの債務者は、一般的な業務委託契約書の場合では、委託者と読み替えることができます。

 

民法の規定では、委託者が破産手続の開始決定を受けるまで、また、委託者が担保を滅失させたなどとするまで、委託者は期限の利益があるため、受託者は支払い請求できず待っていなければなりません。それでは、実際には債権回収を行うことが難しくなります。

 

そのため、業務委託契約書に、期限の利益喪失条項を設けて、受託者がより債権回収できやすいようにします。

 

 

 

期限の利益喪失条項を設けるメリット

受託者にとっては、委託者の財産状態が悪化するなど以下の事由に該当すると、期限の利益を喪失させると規定させておくことが非常に重要となります。

 

(1)手形又は小切手を不渡りとしたとき
(2)差押え、仮差押え、仮処分、競売、租税滞納処分その他公権力の処分を受けたとき
(3)破産手続開始、会社更生手続開始若しくは民事再生手続開始の申立てがあったとき、又は清算に入ったとき
(4)財産状態が悪化したとき

 

このような期限の利益喪失事由は、業務委託契約書の契約解除条項における無催告解除事由と同じことが一般的です。

 

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