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秘密保持契約書の秘密情報の範囲を詳細解説!

最終更新日:2024年7月17日

 

以下において、秘密保持契約書(NDA)の秘密情報の範囲に関する詳細解説をしております。

 

 

秘密情報の範囲

秘密保持契約書(NDA)は、秘密情報の開示を受ける当事者に対して、秘密情報を秘密として保持すること、第三者に開示漏えいしないこと、目的外に使用しないことなどを義務づけるものです。


そのため、開示を受ける当事者にとって、これらの義務を遵守するには、その秘密保持契約書に定められている秘密情報の範囲を把握する必要があります。

 

つまり、この秘密保持契約書での秘密情報の範囲はどこからどこまでか?ということを明確にする必要がある訳です。

 

実は、秘密情報の範囲は、秘密保持契約書ごとに広く定められていたり、狭く定められていたりしているのです。

 

そのため、秘密保持契約書の締結にあたり、最優先すべきなのは、秘密保持契約書の範囲を広く定めるか狭く定めるのかといったところになります。

 

また、一般的には、秘密情報を開示する当事者の立場に立つと、秘密情報の範囲を広げておくことが有利とされていますし、一方、秘密情報の開示を受ける当事者の立場に立つと、秘密情報の範囲を狭めておくことが有利とされています。

 

 

秘密である旨の明示

秘密情報の範囲を判断する材料の1つとして、秘密保持契約書において、開示する当事者が開示を受ける当事者に対して、秘密情報に「秘密である旨明示」する義務を負う記載があるかどうかという点は見逃さないようにしたいところです。

 

この「秘密である旨明示」という記載がなければ、秘密情報の範囲は広くなりますし、あれば、秘密情報の範囲は狭くなります。

 

「秘密である旨明示」というと、具体的には、開示をする際に、書面や電子データに「秘」や「CONFIDENTIAL」などと明記します。

 

そのため、開示を受ける当事者にとっては、「秘密である旨明示」された情報に対して、秘密保持義務等を負えばいいので、わかりやすく、そのため、義務を遵守しやすいということになる訳です。

 

また、口頭での開示においても、口頭開示する際に、この情報は秘密ですよと開示を受ける当事者に伝え、後日書面等であのときの情報は秘密情報ですよと伝えれば、秘密情報となると規定されることがあります。

 

これも、本来口頭による開示で、秘密情報が曖昧だったものを明確にすることができますので、開示を受ける当事者にとっては、義務を遵守しやすくなることにつながります。

 

 

 

秘密情報の媒体~口頭含む

秘密情報は、どのような媒体で提供されるのかも重要です。

 

秘密情報を開示するための媒体は、「口頭・書面・電磁的記録など」が挙げられます。

 

これら媒体のうち、「口頭・書面・電磁的記録」ですと、秘密情報の範囲が広くなり、「書面・電磁的記録」ですと、秘密情報の範囲が狭くなります。

 

要するに、口頭を含むと秘密情報の範囲が広くなります。


このケースでは、秘密保持契約書に秘密情報を定義する場合、「口頭・書面・電磁的記録その他いかなる媒体を問わずすべての情報」と定義していることが多いです。

 

ただ、口頭で開示される秘密情報ですと、開示を受ける当事者は、秘密情報を具体的にイメ―ジするのが難しくなります。また、開示当事者は、秘密情報を把握するため、口頭で開示された情報を逐一記憶しておかなければなりませんし、口頭で開示された情報をメモや録音しておく必要もあるかもしれません。

更に、開示当事者は、そのメモや録音したレコーダーが第三者に触れないよう管理する必要もあり、秘密保持義務を遵守するのに、非常に負担が大きくなるのではないでしょうか。

 

 

 

秘密情報の媒体~口頭含まない

秘密情報を開示するための媒体に、口頭を含まず、「書面や電磁的記録」と限定する場合です。

 

要するに、秘密情報の範囲を狭くするケースです。

 

秘密保持契約書において、秘密情報を「書面や電磁的記録により開示される情報」と限定するということです。


前述のとおり、書面や電磁的記録だけでなく、口頭や映像その他あらゆる媒体を秘密情報とするケースもあるのですが、あらゆる情報ですと、非常に広範囲となり、実効性に疑問を生じますので、このように、秘密情報を書面や電磁的記録に限定するというのは、開示を受ける当事者にとっては、非常にわかりやすく明確で、秘密保持義務を遵守しやすい状況といえます。

 

 

秘密情報の範囲が広すぎる場合

一部上場の大企業では、秘密である旨明示した情報と限定せず、口頭・書面・電磁的記録などの媒体を問わず、開示を受ける当事者が知り得た情報がすべて秘密情報であると規定するケースも多くあります。

 

確かに、開示する当事者にとっては、秘密情報の範囲が広いほうが有利に思えるかもしれませんが、範囲が広すぎると、遵守すべき秘密情報の量が膨大となり、かえって秘密情報の開示を受ける当事者がしっかりとした対応ができず、秘密情報を漏えいしたりする可能性も高くなります。

 

そもそも秘密情報の範囲が広すぎると、些末な情報も多く含まれており、秘密情報との線引きも曖昧となります。

そのためにも、秘密情報の範囲があまりに広すぎるのも疑問の余地は残ります。

 

 

 

秘密情報の例外

以下に挙げた情報は、秘密情報に該当しないこととして定めておくことが多いです。

秘密情報の開示を受ける場合には、必ず定めておきたいところです。

秘密情報に該当しない情報の例
  • 既に公知となっている情報
  • 既に保有している情報
  • 秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
  • 独自に開発した情報

 

 

 

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