秘密保持契約書の片務義務(一方開示)と双務義務(双方開示)の違いを詳細解説!
最終更新日:2024年6月10日
以下において、秘密保持契約書の一方開示(片務義務)と双方開示(双務義務)に関する詳細解説をしております。
片務義務(一方開示)とは?
片務義務とは、契約の一方当事者のみが契約内容に拘束され、一方的に法律上の義務を負担することをいいます。
秘密保持契約書においても、同様で、秘密情報が一方当事者(開示当事者)からのみ開示され、秘密情報を受領した相手方当事者(受領当事者・被開示当事者といいますが、ここでは受領当事者とします)のみが一方的に秘密保持義務を負うというものです。
秘密保持契約書の各条項において、「甲及び乙は・・・」からスタートせず、「乙は・・・」と一方当事者のみが義務を負うように構成されています。
そのため、秘密情報の範囲も広い傾向にあり、契約内容は厳しめの条項が並ぶことが多いです。
まずは、取引の検討を行う場合やその取引において、秘密情報が実際に、開示当事者から受領当事者にしか開示されないか具体的に検討することが重要です。
受領当事者の立場に立つと、意外と、自社のほうからも秘密情報を開示するという場面もあることに気づくこともありますので、本当に、自社だけが一方的に義務を負担するということでいいのかよくご検討ください。
また、発注者(開示当事者)が大企業であるような場合、片務義務の秘密保持契約書を提供されることが非常に多く、パワーバランスから、発注者は秘密保持義務を負担せず、受注者(受領当事者)だけが一方的に義務を負担するような内容になっているケースが多いですので、注意が必要です。
双務義務(双方開示)
双務義務とは、契約当事者の双方が契約内容に拘束され、互いに法律上の義務を負担することをいいます。
秘密保持契約書においても、同様で、双方当事者が秘密情報を開示し、双方の当事者が秘密情報を受領しますので、双方の当事者が開示当事者から受領した秘密情報について、秘密保持義務を負うことになります。
秘密保持契約書の各条項において、「乙は・・・」と一方当事者が義務を負う主語からスタートせず、「甲及び乙は・・・」と双方当事者が義務を負うように構成されています。
双方が義務を負担しますので、秘密情報は狭い傾向にあり、秘密保持義務もやや緩やかな傾向にあります。
開示当事者の立場に立つと、意外と、自社のほうからも秘密情報を開示することはありますが、相手方当事者からは秘密情報の開示を受ける場面がないということ気づくこともありますので、本当に、双方が義務を負担するということでいいのかよくご検討ください。
また、秘密情報の開示を受けることが多い受領当事者がこの秘密保持契約書を準備することが多いですので、開示をすることが多かったり、重要な秘密情報を開示する開示当事者は、契約内容を確認して、契約内容で契約して問題にかよくご注意ください。
秘密保持契約書でなく秘密保持誓約書の提出の場合も
片務義務の秘密保持契約書の場合は、開示当事者は、秘密保持契約書に押印したとしても、義務を負うことはありません。
そのため、秘密保持契約書で締結するのではなく、受領当事者のみが契約内容に拘束され、一方的に法律上の義務を負担することを想定して、受領当事者が開示当事者に秘密保持誓約書を提出する(差し入れる)場合もあります。
詳細はこちらでご確認ください。
まとめ:片務義務と双務義務の違い
片務義務と双務義務の違いについて、以下のとおりまとめてみました。