秘密保持契約書の効力いつまで?永久?契約期間と存続(残存)期間を解説!
最終更新日:2024年5月28日
以下において、秘密保持契約書(NDA、機密保持契約書)の契約期間と存続(残存)期間について詳細解説をしております。
秘密保持契約書の契約期間
秘密保持契約書の契約期間はどれくらいの期間で定めればよいでしょうか。
それは、当事者間で適切に定めれば問題ありません。
適切というのが難しいのですが、開示をする当事者として、秘密情報をいつまで秘密にしておいてもらわないといけないのか、また、開示を受ける当事者として、秘密情報をどのくらいの期間管理できるのかということを踏まえて、適切に設定するべきと考えます。
秘密保持契約書を締結するパターンとしては、「取引前の検討開始前に締結するパターン」、また業務委託などの「取引と連動して締結するパターン」が考えられます。
「取引前の検討開始前に締結するパターン」では、
両当事者によって本格的な取引を開始するのに必要となる検討が継続する期間を考慮して、契約期間を設定します。
多くのケースで、1年から5年くらいの間で、本契約の締結日から●年間と具体的に定めることが多いようです。
また、「取引と連動して締結するパターン」では、
主たる契約である業務委託基本契約書や継続的な業務委託契約書と連動しますが、その取引の契約期間が1年契約で、以後自動更新していくことが多いですので、従たる契約である秘密保持契約書も同様の契約期間となることが多いようです。
契約期間条項の規定例
第●条(契約期間)
契約期間は、本契約の締結日から●年間とする。
秘密保持契約書の存続(残存)期間~永久も
秘密保持契約書において、契約が終了した場合でも、秘密保持義務、秘密情報の目的外使用禁止義務、秘密情報の返還義務を負わせるため、一定期間これらの義務を存続させる必要があります。
契約が終了すると、今まで秘密にしていた秘密情報がすぐに第三者に知られてもよいということにはならないからです。
この秘密保持契約書が終了した後の期間を存続(残存)期間として、秘密保持契約書の存続期間はどれくらいに設定すればいいのでしょうか。
これも当事者間で適切に定めれば問題ありません。
通常、秘密保持契約書の契約終了後1~5年程度で折り合うことが多いようですが、秘密情報の性質から永久に義務を負い続けることも実際のところよくあります。
特に、契約相手の立場が強い場合、秘密情報の性質を問わず、永久とされてしまうことはよくあります。
一般的に、秘密情報を開示する立場としては、秘密情報の開示を受ける当事者に対して、特に秘密保持義務を長く負わせるため、存続期間を5年間、10年間、永久など長期間を希望することが多いです。
また、秘密情報の開示を受ける立場としては、秘密保持義務を長く負いたくないため、存続期間を1年間、3年間、5年間など短期間を希望することが多いです。
存続期間条項の規定例(永久)
第●条(存続期間)
本契約終了後においても、第●及び第●条の定めはなお有効とする。
まとめ
上記で解説しましたとおり、秘密保持契約書の契約期間や存続(残存)期間は、契約ごとに適切な期間を設けることが必要です。
契約期間は、1年間から5年間程度が一般的ではないかと思います。
また、完全に私見ですが、存続期間は、秘密情報を開示する立場ですと、なるべく長期間としたいですから、5年間、10年間、永久など長期間とすることが多いですし、秘密情報の開示を受ける立場としては、なるべく短期間としたいですから、1年間、3年間、5年間など短期間とすることが多いといえます。
契約相手も存在しますから、希望どおりに合意できるかはなかなか難しいですが、上記の期間の中で、当事者間で具体的なイメージをもって、しっかりと合意していただければと思います。