継続性のある請負契約書(保守契約書)の印紙
営業者間において継続的に生じる保守契約書や清掃契約書などの「継続性のある請負契約書」については、開発や製造などの一時的(単発型)な請負契約書と異なり、印紙税法上、「第2号文書」のみならず、「第7号文書」にも該当することとなります。
ただし、契約期間が3か月以内且つ自動更新のないものを除きます。
この場合、「継続性のある請負契約書」の最終的な所属は、「契約金額の記載」の有無で判断することになります(通則3のイ)。
「契約金額の記載」があれば、「第2号文書」となり、記載がなければ、「第7号文書」となります。
また、「契約金額の記載」の有無は、それに対する契約金額(契約期間と契約金額のいずれもが契約書上で明記されていることで、たとえば、月額の契約金額が5万円、契約期間が2年と記載されていて、契約書における契約金額が120万円と契約書上で明確なこと)を記載しているかどうかで判断します。
通則3のイの規定で、「第2号文書」と判断された文書は、たとえ契約金額が1万円未満であっても、非課税文書とはならず、200円の印紙の貼付が必要となります。印紙税法別表第一の「第2号文書」の「非課税物件」欄に、その旨記載があるからです。
なお、通則3のイの規定は、「継続性のある請負契約書」を変更する変更契約書を締結する場合にも適用されますので、注意が必要です。
「第2号文書」と「第7号文書」の両方に該当するものの、「契約金額の記載」の有無により「第2号文書」と判断された原契約(継続的な請負契約書)を変更契約書で変更する場合、契約期間と契約金額のいずれもが変更契約書上で明記されていなければ、「第2号文書」とは判断されません。
例えば、次年度の契約金額を変更することのみを変更契約書に規定しているケースですと、契約期間の規定がなく、「契約金額の記載」がないということになりますので、たとえ契約期間を変更しない場合でも、契約期間もあわせて記載しておくことで、「契約金額の記載」があり、「第2号文書」と判断されることになります。
このあたりは、非常に多くの方が誤解している部分でもありますので、ご注意ください。
ソフトウェア保守・システム保守契約書の印紙貼付の要否
ソフトウェア保守・システム保守契約書では、業務の内容により、印紙の貼付の扱いが以下のとおり異なっています。
(1)ソフトウェアの不明点・使用方法・技術的問題点に関する問い合わせへの電話電子メールによる回答
→準委任契約に該当し、印紙の貼付は不要です。
(2)マイナーバージョンアップ版の提供(その後ユーザみずからバージョンアップ版の適用)
→情報提供契約に該当し、印紙の貼付は不要です。
(3)ソフトウェアのバグの修正(復旧義務を負う、いわゆる「仕事の完成義務を負う」もの)
→請負契約に該当し、「契約金額の記載」により、第2号文書か第7号文書に該当します。
保守など継続性のある請負契約の印紙は難解です。
間違った貼り方をすると印紙税法違反となります。