委任の履行割合型と成果報酬型
委任(準委任)については、報酬の点から、「履行割合型」と「成果報酬型」とに分けることができます。
従来から規定のある「履行割合型」に加えて、2020年民法改正で、「成果報酬型」が条項として追加されました(民法第648条の2第1項)。
まずは、「成果報酬型」を理解するうえで、以下の条項が非常に重要なものとなります。
上記のとおり、この「成果報酬型」については、「委任事務の履行により得られる成果」とありますので、成果の前提として、仕事の完成責任を負わない「委任事務の履行」であることが前提となります。
そのため、仕事の完成責任を負う業務(システム構築やデザイン制作など)については、やはり請負契約と解するのが相当であると考えます。
次に、「履行割合型」と「成果報酬型」について、それぞれ解説いたします。
履行割合型
「履行割合型」とは、「委任事務の履行」に対して報酬が支払われるものです。
例えば、ある会社からヘルプデスク業務を受託し、毎月定額の報酬を受領できるような契約がこれに該当します。
受任者である会社は、善管注意義務をもって、委任事務の履行を行っていればよいということになります。
そのため、受任者は、成果が出なくても、履行割合型の報酬について、委任事務の履行が終了すれば、委任者に報酬の支払を請求できます(民法第648条第2項)。
また、受任者は、委任者の責任以外で業務が完成しなかった場合や途中終了の場合については、既に履行した割合に応じて報酬の支払を請求できます(民法第648条第3項)。
成果報酬型
「成果報酬型」とは、「委任事務の履行により得られる成果」に対して報酬が支払われるものです。
例えば、行政書士が建設業の許可申請代行業務を受託し、無事に都道府県知事の許可が下りた場合、成功報酬を受け取れるような契約がこれに該当します。
行政書士が受託する建設業の許可申請代行業務は、「委任事務の履行」といえますから、この許可申請代行業務の履行により得られる許可は「委任事務の履行により得られる成果」といえます。
「成果報酬型」の報酬については、成果が引き渡されるのと同時に支払われます(民法第648条の2第1項) 。
また、受任者は、委任者の責任以外で業務が完成しなかった場合や途中終了の場合については、完成した可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは当該利益の割合に応じた部分の報酬の支払を委任者に請求することができます(民法第634条、民法第648条の2第2項)。
履行割合型と成果報酬型の違い
「履行割合型」と「成果報酬型」についてそれぞれ解説しましたが、違いを以下にまとめてみました。ご参考にしてください。