取適法4条書面(発注書面)の明示義務を徹底解説!
最終更新日:2026年1月6日
ここでは、取適法の「4条書面」「4条明示義務」について、必要な記載事項や契約実務上の運用や注意点を解説しております。
4条書面とは?
業務委託契約書が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(略称:中小受託取引適正化法、通称:取適法(とりてきほう))」の対象となる場合、「委託事業者」は、「中小受託事業者」に対し、取引条件を示した「4条書面」を明示しなければなりません。
取適法「4条書面」に相当する制度ですが、取適法では下請法第3条の書面交付義務という形式ではなく、「4条書面として必要事項を明示する義務」としてリニューアルされています。
4条書面の明示方法
取適法4条書面の明示方法は、次のいずれかで行う必要があります。
- 書面(紙)
- 電磁的方法(PDF、電子メール、ショートメッセージサービス等)
BtoBの場合では、実務上は契約書の中に、必要事項を遺漏なく盛り込むことで、4条書面として機能させるケースが一般的です。そのため、「委託事業者」に該当する場合、業務委託契約書、請負契約書などの契約書を書面や電子契約で締結すれば問題ないといえます。
4条書面として契約書を締結する運用
4条書面として、契約書を作成・締結している運用を行っている事業者が多くいらっしゃいます。
具体的には、以下のいずれかの方式で契約書を作成・締結して、これを4条書面として運用する方式です。
- 業務委託契約書(個別)
- 業務委託基本契約書+個別契約(注文書・注文請書)
4条書面を網羅したこのような契約書を準備しておくことは非常に重要です。
まず、契約書を作成・締結する方式により、4条書面の目的である「取引条件を明確化すること」を果たせることになります。
そして、「発注書」を一方的に交付する方式では、「中小受託事業者」にNOと言わせず、不利な内容を押し付けることにつながるおそれがあります。
しかも、「発注書」の内容によっては、「買いたたき」などの禁止行為や独禁法の「優越的地位の濫用規制」に違反することにもにつながる場合があります。
そのため、取適法には発注書面の交付義務が定められていて、契約書の作成・締結の義務まではありませんが、やはり「中小受託事業者」とのフェアな取引が求められていますので、「委託事業者」に該当する場合、契約書の作成・締結による運用を行うのがよろしいのではと考えます。
契約書に4条書面の必要記載事項がすべて網羅されていれば、契約書自体が4条書面としてみなされますので、別途発注書面を作成・明示する必要はありません。
ちなみに、「委託事業者」が4条書面を網羅した契約書をご準備いただくことで、以下のメリットがあります。
- 発注内容が明確になる
- 紛争の防止となる
- 仕様変更や追加費用のルールがわかりやすくなる
- フリーランス法との整合性が確保されやすくなる
ぜひとも、このような4条書面を網羅した契約書をご準備いただくことを推奨いたします。
4条書面に記載すべき必要記載事項
発注書面(4条書面)に記載すべき必要記載事項には、必ず記載しないといけない「必須事項」と該当する場合に記載しないといけない「該当事項」があります。
まずは、「必須事項」からみていきます。こちらの内容を必ず4条書面(契約書)に記載する必要があります。
- 「委託事業者」及び「中小受託事業者」の名称
- 製造委託等をした日
- 「中小受託事業者」の給付の内容(品目、品種、数量、規格、仕様等)
- 物品等の受領期日(役務提供委託の場合は、期間でも可)
- 物品等の受領場所(役務提供委託の場合は、役務が提供される場所)
- 製造委託等代金の額
- 製造委託等代金の支払期日
次に「該当事項」です。
必ずしも必要ではありませんが、該当することになれば、必ず記載しましょう。
- 検査をする場合は、検査を完了する期日
- 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付け又は支払可能額、その期間の始期、「委託事業者」が製造委託等代金債権相当額又は製造委託等代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
- 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額、「中小受託事業者」が製造委託等代金の支払を受けることができるとする期間の始期及び電子記録債権の満期日
- 原材料等を有償支給する場合は、品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日及び決済方法
- 明示しないものがある場合に、当該未定事項の内容が定められない理由及び当該未定事項の内容を定める予定期日
対象取引を行う場合、事前にこれらの内容が網羅された業務委託契約書、請負契約書等をご準備いただくのが安全です。
また、当事務所では、「委託事業者」からも「中小受託事業者」からも、契約書のリーガルチェックを受ける場合がありますが、上記の記載事項の記載漏れ、記載事項に準拠していない記載ミスが多く見受けられますので、ご注意いただきたいです。
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4条書面の明示時期
発注書面(4条書面)の明示時期は、製造委託等の取引をした場合、「ただちに」明示する必要があります。
「ただちに」明示するのは、「中小受託事業者」が取引中または取引終了時に発注書面(4条書面)を明示されたとしても、後になって、「委託事業者」も「中小受託事業者」も発注時の発注内容を確認することができないからです。
このことから、いわゆる「事後契約」「遡及契約」は、取適法上問題となります。
また、取適法第4条に、「委託事業者」が発注する場合、発注書面(4条書面)を「書面」または「電磁的記録」により明示する義務がありますので、いわゆる「口頭」や「電話」だけで発注することは4条書面の明示義務違反となる可能性が高いため注意が必要です。
「委託事業者」は、取引の開始前に、発注書面(4条書面)の内容を網羅した業務委託契約書、請負契約書などの契約を締結しておけば問題ありません。
罰則
「委託事業者」が発注書面(4条書面)明示義務を遵守しなかった場合、違反行為をした代表者、代理人、使用人その他の従業者(担当者など)は、50万円以下の罰金に処せられます(第14条第1号)。会社も同様です(第16条)。両罰規定のため、会社や法人も処罰の対象となります。
※会社、代表取締役だけでなく、現場の担当者の方も罰を受ける可能性がありますので、十分ご注意ください。
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まとめ
取適法4条書面のポイントについて、以下のとおりまとめました。
- 取適法第4条では、「委託事業者」に対し、「中小受託事業者」との取引条件について、必要記載事項を記載した発注書面(4条書面)を明示することが求められています。
- 4条書面は、取引開始前に、書面または電磁的方法により事前に明示しなければならず、いわゆる事後的な交付(事後契約・遡及契約)や口頭のみの発注は認められていません。
- 業務委託契約書や請負契約書などに、4条書面として必要な記載事項がすべて網羅されていれば、その契約書自体が4条書面を兼ねることも可能です。
- 4条書面の明示義務に違反した場合には、「委託事業者」や代表取締役だけでなく、担当者個人を含めて罰則の対象となる可能性があるため、十分な注意が必要です。
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よくあるご質問
取適法4条書面に関して、お客様から多く寄せられるご質問をまとめました。
- 業務委託契約書があれば、4条書面は不要ですか?
- そうとも限りません。
業務委託契約書に、取適法第4条で定める必要記載事項がすべて記載されている必要があります。 - 注文書・注文請書で契約する場合は、どう考えればよいですか?
- 業務委託基本契約書に基づき、注文書・注文請書を用いて個別の業務を発注する場合には、業務委託基本契約書および当該注文書・注文請書をあわせて確認したときに、取適法第4条で求められる記載事項のすべてが確認できることが重要です。
注文書・注文請書には、当該個別取引に固有の事項(業務内容、納期、納入場所、契約金額等)を記載するとともに、支払期日、検査完了期日その他の共通事項については、業務委託基本契約書の該当条項を明示的に引用する形で記載する必要があります。 - 取適法4条書面に準拠しているか確認してもらえますか?
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