英文NDAにおけるConfidential Informationの範囲を詳細解説!
最終更新日:2026年2月15日
英文NDA(秘密保持契約書)を確認するにあたり、日本企業が最も注意すべき条文の1つが「Confidential Information(秘密情報)」の定義条項です。
「秘密情報」と聞くと、技術資料や営業資料など、明確に“重要そうな情報”だけを想像しがちですが、英文NDAでは、想像以上に広い範囲が秘密情報に含まれることがあります。
この定義を正しく理解しないまま契約してしまいますと、社内での情報共有や日常的な業務を行っているうちに、知らない間に、契約違反となってしまうおそれがあります。
秘密情報の範囲のよくある条文で確認
まずは、よく見かける定義条文で確認していきます。
秘密情報の範囲の定義例
“Confidential Information” means any and all information disclosed by the Disclosing Party to the Receiving Party,whether in written, oral, lectronic or other form,that is designated as confidential or that reasonably should be understood to be confidential given the nature of the information and the circumstances of disclosure.
一見すると、それほど問題のなさそうな定義にも見えますが、契約書の場合、必ずしもそんなに単純ではありません。
よく読みますと、この1文の中に、日本企業がつまずきやすいポイントが複数含まれているのがわかります。
秘密情報の形式は契約ごとに異なります - 書面だけとは限りません
英文NDAでは、秘密情報の定義において、開示の形式(媒体)が明記されることが一般的です。
例えば、次のように規定されることがあります。
・written(書面)
・oral(口頭)
・electronic(電子データ)
・other form(その他の形式)
しかしながら、これらすべてが常に規定されるわけではありません。
契約によっては、「oral」がなく「written and electronic」に限定されている場合もあれば、「oral」を含める場合もあります。
つまり、秘密情報の範囲は、この条項の定義次第で大きく変わってきます。
「oral」が含まれていれば、打合せや電話で説明された内容も秘密情報になり得ますし、「other form」が含まれていれば、秘密情報が形式を問わず広く解釈される可能性があります。
一方で、「written」に限定されている場合は、口頭説明のみでは秘密情報に該当しないと解釈されることになります。
秘密情報の定義条項については、このような点を意識して読むことが重要です。
「秘密であると指定されたもの」の表示はあったほうがいいのか?
英文NDAでよく用いられるのが、「designated as confidential」という表現です。
他にも「marked as confidential」「identified as confidential」という表現などもあります。
日本語にすると「秘密であると指定されたもの」となります。
- このように、「CONFIDENTIAL」と表示されていたり、書面で秘密と明示されていると、どれが秘密情報になるのか客観的な基準で判断ができますので、受領者にとっては、どこまでが秘密情報かを把握しやすくなります。
しかしながら、「秘密であると指定されたもの」の表示がない場合も多くあります。
例えば、以下のような表現です。
- ・all non-public information(公開されていないすべての情報)
- ・any information disclosed(開示されたあらゆる情報)
- ・information disclosed in connection with the discussions(本協議に関連して開示された情報)
これらの場合、秘密情報の範囲は広くなります。
例えば、「打合せで口頭説明された内容」「メールで送受信したやり取り」「会議などでの一時的な画面共有」などこれらがすべて秘密情報に含まれる可能性があります。
情報を開示することが多い・より重要な情報を開示する当事者はこのように定義してくることが多いです。
「合理的に秘密と理解される情報」とは何か ― 範囲が広がる要注意条項
この定義で最も注意すべきなのが、次の部分です。英文の秘密保持契約書でよく見られ、和文の秘密保持契約書ではあまり見られない条文です。
reasonably should be understood to be confidential(合理的に秘密と理解されるべき情報)
他にも以下の表現などもあります。
・reasonably understood to be confidential
・reasonably deemed to be confidential
これらは、明示的に「秘密」と書いていなくても情報の内容や場面から見て普通に考えれば秘密だとわかる情報は、秘密情報に含まれるということになります。
つまり、「合理的に秘密かどうか」という主観的な判断基準となっている以上、結果として「ほぼ全部が秘密情報」と解釈されることになり、受領者が契約違反となる可能性があり、非常にリスクが高い条文といえます。
「Confidential Information」の範囲は交渉ポイント
英文NDAでは、Confidential Information(秘密情報) の定義については、その範囲が定められておりますので、両当事者にとっては、契約を遵守できるかどうかの境目を決めることになりますので、重要な交渉ポイントです。
実際、以下の点については、契約相手との交渉段階において、修正・調整が行われることも少なくありません。
・口頭情報・無形情報を含めるか
・秘密ある旨明示の要件を厳格にするか
・一定期間内に書面化されたものに限定するか
これらは、自社が秘密情報を開示する場面が多いのか、少ないのか、重要な情報なのかそうでないのかも含めて、本当に開示漏洩された場合にどういう影響が所持るのかなどを踏まえて検討する必要があります。
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まとめ
英文NDAにおける「Confidential Information」の定義は、NDAの作成やリーガルチェックに多大なる影響を与える最重要条文の1つと言っても過言ではありません。
和訳だけで、条文の意味を「何となく理解したつもり」になるのではなく、どこまでが秘密情報に含まれるのか、開示漏洩すると、具体的にどのような影響が生じるかを意識しながら確認することが重要です。
よくあるご質問
英文NDAの秘密情報の範囲に関するよくあるご質問について、まとめてみました。
- 英文NDAでは、開示者から受け取る情報はすべて秘密情報になるのでしょうか?
- いいえ、必ずしもすべての情報が秘密情報になるわけではありません。
英文NDAでは、Confidential Informationの定義条項によって、どの情報が秘密情報に該当するかが定まります。
定義の内容によっては、書面や電子データだけでなく、口頭などの無形のものまで秘密情報に含まれる場合があるため、条文がどのような記載になっているかを慎重に確認することが重要です。 - Confidential Informationの範囲は交渉で修正できますか?
- はい、できます。また、修正・調整が行われることは少なくありません。
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