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英文NDAの秘密情報の例外条項(Exclusion,Exception)の読み方を詳細解説!

最終更新日:2026年2月12日

英文NDA(秘密保持契約書)では、秘密情報を定義する条項と並んで、秘密情報に該当しない情報(例外)を定める条項が設けられるのが一般的です。
この「秘密情報の例外条項」は、知っていれば、ある程度予測はできるのですが、一文が非常に長く、条件が多いですので、意外と読み難いことが多いです。

 

 

 

秘密情報の例外条項とは?

秘密情報の例外条項とは、開示された情報のうち、一定の場合には秘密情報として取り扱わないと定める条項です。

多くの英文NDAでは、「次の各号に該当する情報は、秘密情報に該当しない」「機密情報には、以下の情報は含まれない」などと規定されます。

 

それでは、なぜ例外条項が必要なのでしょうか。

 

もし例外条項がなければ、次のような問題が生じます。

 

・すでに世の中に公開されている情報まで秘密扱いになります。

・受領者が以前から知っていた情報も秘密情報になります。

・法令に基づく開示まで契約違反になりかねません。

 

もし、例外条項がなければ、すべてを秘密情報として、厳重に管理したり保護したりする必要が生じ、秘密情報を受け取る側に過度の負担がかかってしまうのですが、この例外条項により、秘密保持義務を負わなくてすむのです。

 

 

 

秘密情報の例外条項の具体例

英文NDAでよく見られる例外条項の具体例は、以下のとおりです。読み難い条項ですので、以下の内容を頭に入れておくと、条文の内容も把握しやすくなります。

①開示時点ですでに公知となっている情報

公表されている製品情報などすでに公になっている以上、秘密として保護する意味がありませんので、例外条項として定められます。

 

英文具体例:information that is publicly available at the time of disclosure

      (開示時点において公に利用可能である情報)

②開示後、受領者の責めによらず公知となった情報

開示者から秘密情報が開示された後、受領者が秘密保持義務を遵守している間に、第三者によって公開された情報や報道などにより明らかになった情報などが想定されます。受領者が違反していない場合にまで、その責任を負わせるのは不合理ですから、例外条項として定められます。

 

英文具体例:information that becomes publicly available after disclosure through no fault of the Receiving Party
      (開示後、受領者の責めによらず公に利用可能となった情報)

③開示前から受領者が正当に保有していた情報

開示者からでなく、受領者が独自に保有していたノウハウなど「すでに知っていた情報」まで、秘密保持義務を負わせるのは不合理ですので、例外条項として定められます。

 

英文具体例:information already in the possession of the Receiving Party prior to disclosure
      (開示前から受領者が保有していた情報)

 

④正当な権限を有する第三者から適法に入手した情報

他社との取引で合法的に得た情報など、その情報を入手した手段や経路に問題がない場合にまで、秘密保持義務を負わせるのは不合理ですので、例外条項として定められます。

 

英文具体例:information received from a third party without restriction and without breach of any obligation of confidentiality
      (秘密保持義務違反なく、制限なく第三者から受領した情報)

⑤受領者が独自に開発・創作した情報

開示者から開示された秘密情報によらず、受領者が独自に開発した技術情報や社内で培ってきたノウハウにまでにまで、秘密保持義務を負わせるのは不合理ですので、例外条項として定められます。ただし、独自に開発・創作したことを立証することが問題になることがあります。

 

英文条文例: information developed independently and without reference to the Confidential Information
      (秘密情報を参照することなく独立して開発された情報)

⑥法令・裁判所・行政機関により開示を求められた情報

裁判所や監督官庁からの開示命令により開示を求められた情報は、その命令に拘束力があり、開示を拒否できませんので、秘密保持義務を守れないことになります。この場合、受領者は事前通知義務を課されたり、開示範囲をなるべく狭くすることもあわせて規定されることがあります。

 

英文条文例:information required by law, regulation, or governmental request, provided that the Receiving Party gives prior notice to the Disclosing Party
      (受領者が開示者に事前通知することを条件として、法令、規則または政府の要請により開示を求められた情報)

 

 

 

注意したい英文例外条項

例外条項は、多くの場合、 「次の各号に該当する情報は、秘密情報に該当しないものとする。」というかたちで始まります。英文NDAをリーガルチェックする場合には、「またいつものだ」と判断して、内容をよく精査しないまま読み流すことは避けなければなりません。

 

英文NDAの例外条項には、特に受領者側にとっては、以下のような落とし穴がありますので、注意が必要です。


・公知情報の定義が狭くなっている

・独自開発の要件が厳しくなっている

・立証責任が明示的に課されている

 

英文NDAでは、このような内容が静かに規定されていることが少なくありません。

 

 日本語のNDAだと、条文も短めでだいたい同じことが規定されていて、力の抜き所となることが多いのですが、英文NDAの場合はそうはいきません。

 

ドラフトする際もリーガルチェックする際も、秘密情報の内容を把握したうえで、より細かく規定したり、チェックしたりする必要があります。

 

 

 

英文例外条項の読み方

英文例外条項は、書いてある内容は予測がつくものの、意外と読み難いです。

そこで、以下のステップで読むと内容を把握しやすくなります。

①例外条項の具体例をピックアップする

まずは、英文例外条項の全文を細かく読むのではなく、以下の例外条項の具体例をピックアップします。

  

①すでに公知の情報か
②のちに公知となった情報か
③保有していた情報か
④適法に入手した情報か
⑤独自開発した情報か
⑥法令等で開示を求められた情報か

 

これら具体例を把握し、抜けがないか、多くないかを把握することが大事です。

②例外条項に特有の限定語をピックアップする

ここで、全文を読みたいところですが、次のような限定語だけをピックアップします。

  • ・solely
  • ・directly
  • ・without reference to
  • ・through no fault of the Receiving Party
  • ・independently

 

これらは、例外条項に頻出の語であり、例外条項となるために必要です。前文を読む前にハイライトしておくと読みやすくなります。

③全文を通して読む

ここで、ようやく全文を通して読みます。

 

  • ①自社にとってどこが厳しのか、どこが緩いのか
  • ②自社の運用と齟齬がないか

③自社が例外として証明できるか

 

これらを考えながら読むとイメージもわきますし、読みやすくなります。

 

特に③においては、以下のように証明できるかといったイメージを持つと、この例外条項を受けられる受けられないが判断できます。

 

  • ・公知だったことを示す資料はあるか
  • ・独自開発だと説明できる経緯はあるか
  • ・第三者取得の適法性を説明できるか

 

 

 

まとめ

英文NDAの例外条項は、内容自体はある程度予測できるものですが、一文が長く、多くの限定語や条件が重ねられているため、予想以上に読み取りが難しい条項です。

 

「公知情報」「独自開発」「第三者取得」などの典型的な例外類型が並んでいても、そこに付された solelyindependentlycan be demonstrated といった限定語次第で、実際に例外として認められる範囲は大きく変わります。

 

とりわけ受領者にとっては、「例外があるから安心」と読み流してしまうことが最も危険です。
重要なのは、例外に該当するかどうかを「今後証明できるか」という視点で読むことです。

 

英文NDAの例外条項は、形式的なものではなく、リスクの境界線を定める重要な条項といえます。
英文NDAをドラフトするときもリーガルチェックするときも、類型、条文構造、限定語に注意しつつ、実際の運用を想定して検討することが重要です。

 

 

 

よくあるご質問

よくあるご質問について、まとめてみました。

 

英文NDAの例外条項はどの契約でもほぼ同じ内容ですか?
典型的な類型(公知情報・独自開発・第三者取得など)は共通していますが、限定語(solely, independently, can be demonstrated など)の有無や記載場所によって、実質的な内容は大きく異なってきます。
ワンパターンの条文だという先入観を捨てて、慎重に読み進める必要があります。
日本語NDAと比べて、英文NDAの例外条項は何が違いますか?
日本語(和文)NDAは比較的条文が短く、定型的であることが多いのですが、英文NDAでは限定語や証明責任の明示が詳細に規定され、条文が非常に長くなりやすい傾向があります。
しかも、英文NDAは規程されている内容の予測はつくのですが、読み難いことが多いです。

 

 

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